ヤマトのドライバーを密着取材すると、日本郵便や佐川急便のドライバーとも情報交換をするほど、仲がいいことがわかった。他方、この3社はアマゾンと「駆け引き」し、荷受け競争をしてきた。だがそれは、アマゾンに「振り回されていた」に過ぎない。
※本稿は、横田増生著『潜入ルポamazon帝国』(小学館)の一部を再編集したものです。
日本郵便や佐川のドライバーとも
結構、仲がいい
2017年12月中旬、ヤマト運輸のセールスドライバーである小谷厚司(仮名)を密着取材した。
午後になると、日本郵便のドライバーとすれ違う。
小谷はこう言う。
「日本郵便や佐川のドライバーとも結構、仲がいいんですよ。商業地区では、各社のドライバーの仲が悪いなんて話も聞くんですが、住宅地では、要注意のお客さんの情報なんかを交換しているんです。日本郵便のドライバーは、格闘技をやっていて、土日は、その試合があるんで休むんですよね」
そう言いながら、「お客様情報」と書かれたA4の用紙を見せてくれた。40件ほどの住所と名前の後に、それぞれの注意事項が書いてある。「オートロック鳴らさないとクレーム!!」、「庭にドーベルマン放し飼い。門開け厳禁!!」、「ご主人、アルコールを飲んでいるときは危険!!」、「奥さんへのZOZOからの荷物、ご主人には内緒。必ず事前に電話!!」――など。また、地域内の勤め先や、世帯を別にしながらも荷物を受け取ってくれる親子の情報までもが詳細に記載されていた。
一人ひとりのドライバーが、担当エリアに精通していることに加え、こうした長年の蓄積が、ヤマト運輸を宅配便最大手にしているんだろうな、と実感する。
結局、午後2時30分まで配達をつづけ、小谷は午後の荷物を積むため、宅急便センターへと戻っていった。そのとき、配完83個、持戻14個、残14個だった。