子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
9歳までは多読をさせて読書力を強化する
欧米の小学校では、小学1年生になると毎日30分の読書が義務づけられます。
この活動は小学校時代を通して続き、年間100冊以上、卒業までに1000冊以上を読破する子も少なくありません。
なぜこのようなことをするかというと、欧米では「9歳」が読書力を身につけるクリティカルピリオド(臨界期)だと考えられているからです。
9歳までに十分な読書力が身についていないと、具体的思考から抽象思考へ、直接体験から間接体験へとシフトしていく授業内容についていけなくなります。
特に読書力が養われる小学校低学年の時期は、少なくとも月に4~5冊は本を読むように子どもを励まし、導いてください。
読書というと宮沢賢治などの文学作品を読むことだと思っている人が多いですが、最初に子どもに読ませる本は、子どもの読書レベルや興味に合ったものでなければいけません。
最初は絵の多い本から、徐々に活字だけの本へ移行させていきましょう。
移行の時には「絵本と活字本の中間の本」が最適です。「アンパンマン」や「クレヨンしんちゃん」や「ドラえもん」など、絵よりも活字がより多い形で編集された作品が書店には多くあります。
そのほか「かいけつゾロリ」シリーズや、「児童向け文庫」と呼ばれる小学生向けの挿絵が多い本もたくさんありますので、ぜひ活用してみてください。
子どもが読む本は「おもしろさ」や「日常性」や「親しみやすさ」がポイントです。
小学生の子どもは自分でうまく本が選べません。親子で図書館に行き、子どものレベルや興味に合った本を一緒に探しましょう。
小学校低学年はとにかくたくさんの本を読ませて活字に対する抵抗感をなくすことに重点を置きます。