三浦瑠麗裁判1345日、その後さらに
NHK記者とNHKを相手に裁判を起こした
なお、週刊ポスト報道の1カ月後、西脇は村上氏と同棲中であるとされたNHK記者を相手に、慰謝料を求める裁判を起こした。さらに使用者責任があるとしてNHKをも損害賠償で訴えた。
取りつかれたように裁判に挑む当時の西脇の様子を「狂気」「妻への未練や固執では」「代償行動ではないのか」と冷静に評する者もいた。西脇には当時、何が見えていたのだろう。「限界ギリギリの精神状態でした。頭の中には、奥さんの顔はもうなかった」。強すぎる正義感は、時として自らを呪い苦しめるのかもしれない。「現世での幸せは諦めている」、西脇はそう寂しく本書に記した。
三浦瑠麗裁判、1345日。インフルエンサーと呼ばれるSNS有名人による投稿に、プライバシー侵害を認める判例を生む結果となった。あの闘いは、メディア人や法律家として以前に、心を持ったひとりの人間としての存在証明だった、と西脇は来し方を振り返る。「今回の闘いでやっと、自力で法律の世界を泳げるようになった気がします。これからは不条理に苦しめられながらもどう闘えばいいのか悩んでいる方に全力で手を貸すライフガードのような存在になれるよう、一歩を踏み出したいと思います」。全ての裁判を終え、すっきりとした表情でそう語った西脇は、本書の出版で得た印税は全て、犯罪被害者の遺児支援を行う公益財団法人に寄付すると宣言している。
西脇亨輔 著