日本株は軟調地合いも下落は継続?回復続く日本景気に設備投資弱含みの見方写真はイメージです Photo:PIXTA

底堅さを見せる日本株の背景に
日本経済の持ち直し・回復の継続

 日本の株式市場では、米国の長期金利の上昇や中東情勢の緊張の高まりなどの地政学リスクに揺れる中、株価に対する下押し圧力が続いている。ただ、日本株は一方的な下落となっておらず底堅さをみせている。こうした動きを支えているものの一つとして、日本経済の持ち直し・回復の動きの継続が指摘されている。

 GDP統計では、23年1~3月期、4~6月期にいずれもプラス成長が示され、23年9月調査の日銀短観では、企業の景況感の改善が続いていることが確認された。大企業・製造業の業況判断DIは、6月調査から4ポイント上昇し、2期連続の改善でプラス9となった。景気が「良い」と考える企業の比率から「悪い」とする比率を差し引いたDIがプラスとなっており、「良い」とする企業が相対的に多く、その超過幅が拡大していることになる。

 大企業・非製造業の業況判断DIは6期連続で上昇し、23年9月調査ではプラス27と、1991年11月調査以来の高水準を記録している。中堅、中小企業でも景況感の目立った悪化はみられず、全規模・全産業のDIは、23年9月調査でプラス10と、2期連続の上昇となった。

7-9月期の日本経済
先行きに対する期待も

 業況判断DIを業種別でみると、製造業では自動車の改善が大幅になっているほか、窯業・土石など素材業種を中心に広く改善している。非製造業では、宿泊・飲食サービスや小売、対事業所サービスなどが上昇している。

 自動車の景況感改善については、部品の供給制約の緩和で生産活動が回復し、国内の乗用車販売や自動車輸出が伸びていることがある。また、これまでの資源価格の下落に伴うコスト減が広く景況感を押し上げているとみられる。一方、非製造業では、経済正常化の動きを受けた個人消費の回復や、新型コロナウィルスの感染拡大防止のための水際対策の緩和によるインバウンドの持ち直しの動きが、景況感の改善につながっていると考えられる。