
鹿野達史
日本の株価は底堅く推移しているが、その背景には日本景気の底堅さや持続的な日本企業の収益拡大がある。日本景気の拡大は年初まで続く公算が高いことや、円安の進展で企業業績の拡大や期待成長率の高まりといった好循環がみられることを経済指標の動きから的確に解説し、今後も日本株は堅調な動きが期待されることを提示する。

8月の台風10号の接近による工場の操業停止や店舗の営業休止などが相次ぎ、日本景気は思わぬ下押しを受けた。一部では9月以降も景気が低迷するとの見方も出ている。9月の各種経済指標から企業の生産活動も個人消費も回復基調が続くことを指摘し、企業の予想・期待成長率の上昇が、日本景気の回復を期待させることを解説する。

日本経済は持ち直しの動きを続けている。足元では内閣府、政府ともに景気判断を上方修正させており、10月も判断を上方修正するとみられる。日本景気をけん引する個人消費の拡大が所得環境の改善と「買い替え需要」によるものであることを紹介し、買い替え需要がいつまで続くかを周期解析などから明らかにする。

2024年春闘の平均賃上げ率は33年ぶりの高水準となった。雇用者数の増加もあり家計の総雇用者報酬は3年ぶりの高い伸びだ。定額減税も加わり家計の所得環境は改善を続けており、個人消費の改善が期待される。今年も日本を襲う「猛暑」が夏物消費を中心に個人消費を押し上げることを過去のデータから推計し、日本景気は個人消費を中心に回復が続くことを展望する。

鉱工業生産指数は、2月をボトムに5月にかけて上昇基調となっており、内閣府は基調判断を「下方への局面変化」から「下げ止まり」に上方修正した。鉱工業生産は今後も回復基調を続けるとみられる。企業の設備投資意欲が強いことを日銀短観から明らかにするとともに、中期、長期、超長期の景気循環がいずれもピークに向かって上昇を続ける可能性が高いことを示し、日本の「景気拡大」の持続性を解説する。

24年1~3月期の実質GDPは前期比0.5%減と2四半期ぶりのマイナス成長。認証不正による自動車の大幅減産が日本景気を大きく下押しした。しかし一方で、同期の企業業績は改善しており、今後の日本景気の回復を期待する声もある。日本経済を専門とするエコノミストが、交易条件と企業業績の関係を指摘し、今後は個人消費、輸出、設備投資を中心に日本景気が回復基調で推移することを解説する。

内閣府は景気動向指数の基調判断を下方修正し、日本景気が後退入りした可能性を示唆した。しかし自動車生産は再開され、3月には鉱工業生産の増加も確認された。鉱工業生産に加え設備投資の現状を詳細に分析し、今後、日本景気は後退入りを回避し、回復基調を取り戻すことを展望する。

内閣府は生産活動の落ち込みなどを理由に日本景気がすでに後退入りした可能性を指摘した。また1~3月GDPがマイナス成長となったとの声も聞かれるようになっている。日本株は高水準を維持しているものの上値は重い。過去、景気後退が確認された際には、株価が3割超の調整となるケースも多く、日本株調整のリスクも懸念される。鉱工業生産や景気一致指数の内訳を精緻に分析することで、年初からの減産の動きが止まる可能性が高いことを指摘し、今後、日本景気は後退入りを回避し、回復基調を取り戻すことを展望する。

日本景気は拡大基調を続けているが、景気動向指数・CI一致指数は24年1月に急低下。内閣府は景気の基調判断を「足踏み」に下方修正した。生産予測指数などから景気動向指数の急低下につながった鉱工業生産の落ち込みは2月以降、回復することを提示し、企業の設備投資増などから今後も日本景気が堅調に推移するとの見方を提示する。

好調を続ける日本株の背景には景気回復と企業業績の拡大がある。しかし24年に入ると、一部自動車メーカーでの認証試験不正などで生産活動が急減。このまま景気回復の動きが止まり、株高が腰折れするリスクも意識される。2月以降の生産活動は急速に回復するとの見方を披露するとともに、今後は設備投資の拡大が企業業績をけん引することを解説する。

日本株が堅調に推移する背景には日本の景気回復と企業業績拡大がある。ただ、景気先行き懸念は根強く、日本の株価上昇をバブル視する見方は絶えない。景気拡大を続ける半導体需要の拡大を景気循環の手法から分析し、今後も日本株の上昇を支える企業業績の拡大が続くことを大胆に指摘する。

政府の景気判断が11月に下方修正された一方で、12月調査の日銀短観では景気回復の動きに変わりがないことが示されたなど、足元や来年の日本景気に対する見方は分かれている。日本景気を長年分析したベテランエコノミストが、日本景気の回復が続いている理由を明快に解説するとともに、来年も景気回復の動きが続くと考える根拠を提示する。

23年7~9月期の実質GDP成長率が前期比年率マイナス2.1%と、3四半期ぶりのマイナス成長を記録。内訳をみると、システム不具合による自動車生産一時停止が景気を下押しした模様だが、冬場にかけての高い気温が日本景気に「慮外」の打撃を与える可能性も指摘されている。個人消費の推計に平均気温要因を追加することで、平均気温と個人消費の関係を明らかにするとともに、過去の暖冬時における日本景気の状況や、今後予定されている定額減税などの政府対策を踏まえ、今後も日本景気の回復基調が続くとみられる理由を解説する。

23年1~3月期、4~6月期がいずれもプラス成長となり、23年9月調査の日銀短観では、企業の景況感の改善が続いていることが確認された。しかし足元では機械受注に弱めの動きが見られるなど、設備投資が今後、弱含むとの見方も出ている。機械受注以外の設備投資関連統計の結果を確認するとともに、資本係数やトービンのqといった視点で設備投資の先行きを占い、日本景気が日本株を今後も下支えする可能性が高いことを示す。

日経平均株価が、年初来の高値に迫る動きを見せるなど日本株は堅調だが、日本企業の収益拡大が日本株を下支えしている。日本企業の収益拡大の背景をマクロ経済統計から明快に解説するとともに、中国不動産問題などで先行き懸念が高まる世界経済が今後は改善に向かうことで日本企業の収益増の動きが続く展開が期待できることを指摘する。

23年1~3月期、4~6月期の実質GDP成長率(前期比年率ベース)は、それぞれプラス3.7%、プラス6.0%と高成長。7月以降も日本景気の回復に変化がないとみられる。日本景気のけん引役として、個人消費やインバウンドに設備投資が加わっていることを指摘するとともに、設備投資の拡大が期待できる理由をソフトウェアの更新需要などから解説する。

23年1-3月期の実質成長率が2%台後半となるなど日本経済は回復の動きを続けている。経済再開・正常化に向けた動きを受けたサービス消費の回復に加え、インバウンド需要の増加、企業の設備投資拡大もある。一方、ここにきてインバウンド需要回復の一巡や、先送りされていた設備投資の実行一巡などにより、先行き経済活動の回復の勢いが、急速に落ちるとの見方も出ている。日本経済を長年ウォッチしてきたエコノミストが、経済データから構築した推計式を基にインバウンド需要や設備投資の上振れ幅を試算し、今後も日本経済が堅調を続けるとみられる理由を解説する。

日経平均株価が33年ぶりに3万3000円台を回復するなど、日本株の上昇が続いている。日本株高の背景には日本経済の再評価がある。景気循環分析を得意とするエコノミストが、中長期の景気循環から日本景気の拡大が長期にわたる可能性があることを指摘し、株価と景気循環の関係から日経平均「4万円」超えが期待できる理由を解説する。

東京株式市場で日経平均株価がバブル崩壊後の高値を更新し33年ぶりの高水準となるなど、日本株は堅調な推移を続けている。こうした動きの背景には、日本経済の底堅さが見直されていることがある。23年1~3月期の日本の実質成長率は前期比年率プラス1.6%と、明確なプラス成長が示されている。日本経済をけん引する個人消費とインバウンド需要の現状を整理し、筆者独自の推計式から個人消費とインバウンドの今後の潜在的な増加額を試算する。

日本経済は、再び上向きの動きをみせている。非製造業が回復を続ける中、落ち込んでいた製造業に持ち直しの動きがみられることが背景にある。製造業回復の裏側に、自動車生産の変化があることを指摘するとともに、今後は設備投資の拡大が景気拡大の推進役となるとみられる理由を企業の「期待成長率」から解説する。
