「増税メガネ」に過剰反応の岸田政権がはまった減税の罠10月23日、衆議院本会議で所信表明演説をする首相の岸田文雄。岸田は演説で幾度となく、「経済」の2文字を繰り返した Photo:JIJI

 10月23日午後1時すぎ、衆議院本会議場に論戦が戻ってきた。6月の通常国会閉会から約4カ月ぶり。内閣改造・自民党役員人事が行われたこともあって議場の景色も様変わりした。正面のひな壇と呼ばれる閣僚席には前内閣では2人だった女性閣僚が5人に増えた。議場最後列の自民党執行部席に新たに選対委員長の小渕優子が加わった。

 何より変わったのは健康上の理由で辞任した細田博之に代わって、元財務相の額賀福志郎が議長席に座ったことだ。額賀は20日の召集日に天皇陛下をお迎えして行われた開会式で手順を間違え、話題になったが、さすがに23日の本会議では落ち着いて第一声を発した。

「これより会議を始めます」

 次いで首相の岸田文雄が所信表明を行うため登壇した。コップの水を口にして所信表明の原稿を読み始めた岸田は「経済」の2文字を乱発した。

「『経済、経済、経済』、私は何よりも経済に重点を置いていきます」

 その上でこう力説した。

「税収の増収分の一部を公正かつ適正に『還元』し、物価高による国民のご負担を緩和いたします」

 この場面は岸田にとって一番の“見せ場”だったはずだ。しかし、野党側からヤジが飛んだ。

「増税、増税、増税」

 確かにネット上では岸田をやゆする「増税メガネ」という言葉が飛び交う。岸田は外相時代の2015年に「日本 メガネ ベストドレッサー賞」を受賞して、眼鏡の似合う政治家として通っており、昨年末に決めた防衛費の増額に伴う増税方針への批判の意味を込めて生まれた造語のようだ。