後藤謙次
首相の高市早苗の台湾有事を巡る国会答弁に端を発した日中対立は長期化が避けられなくなった。中国政府は中国人の日本への渡航自粛を呼び掛け、日本産水産物の輸入停止に踏み切るなど対抗措置を次々と打ち出した。

首相の高市早苗が師と仰ぐ元首相の安倍晋三が好んで使った「ロケットスタート」をなぞらえるように高い内閣支持率をたたき出している。ところが高市の足元を思わぬ事態が直撃した。

高市早苗が首相に就任してからまだ3週間だが、サプライズの連続といっていい。中でも大きな話題となったのは衆議院予算委員会の答弁に備えて午前3時に首相公邸に入り、首相秘書官らとの打ち合わせを行ったことだ。

憲政史上初の女性首相誕生という話題性に加え、米大統領のトランプをはじめ中国国家主席の習近平ら各国のリーダーたちとの会談は注目の的となった。世論調査の内閣支持率も高市に及第点を与えたが、維新との間で結んだ連立合意書に盛り込まれた12項目の政策目標が高市に重くのしかかる。

7月の参院選の自公敗退から始まった「令和・夏の陣」は思いも寄らぬ出口にたどり着いた。自民党新総裁の「高市早苗首相」誕生と、それを支える政権基盤は自民党と日本維新の会という異色の組み合わせの登場だ。

首相石破茂を“袋だたき状態”にしたあの「石破降ろし」は何だったのか――。前倒しの自民党総裁選の結果、反石破の急先鋒だった高市早苗が新総裁に選出されたものの、いまだに船出もできずに立ち往生したままだ。

参院選の投開票日(7月20日)から始まった「石破降ろし」は9月7日の首相、石破茂の退陣表明まで約50日間も続いた。結局、石破の後継者を決める自民党総裁選には見飽きた予想通りの候補がそろった。

最後まで続投に強い意欲を持っていた首相の石破茂は、メディアを巻き込んだ「石破降ろし」の圧力に屈して退陣に追い込まれた。しかし、石破降ろしにはその後のシナリオがなかったことが浮き彫りになっている。

参院選で大敗した首相、石破茂の退陣を求めてすでに40日以上が経過した。石破降ろしの延長線上に「衆院解散」の4文字が浮かび上がる。

8月17日の日曜日、首相である石破茂の側近、経済再生担当相の赤澤亮正は福岡に向かった。石破の指南役でもある自民党の元副総裁、山崎拓を訪ねるためだった。

吹き荒れる自民党内の「石破降ろし」にさらされ、四面楚歌といえる首相の石破茂に“援軍”が現れたのかもしれない。8月12日夜に放送されたNHKの世論調査だ。党内の空気を変える可能性を秘めているからだ。

参院選直後から噴き出した自民党内の「石破降ろし」は最終局面に入った。総裁選の前倒しの是非を検討することが8月8日の両院議員総会で確認されたからだ。

参院選での与党大敗から政治が大きく揺れ動く。自民党内で表面化した首相、石破茂の退陣を求める「石破降ろし」は党内抗争に向かいつつある。

参院選の全議席が確定した7月21日午後、記者会見した首相の石破茂は続投を正式に表明した。常識的には記者会見は退陣表明の場になっても不思議はなかった。しかし、石破はあえて「中央突破」を選択した。

7月20日の参院選の投開票日を直前にして報道各社が報じた情勢調査はいずれも政権与党である自民党の苦戦を伝える。選挙の結果次第では、戦後の憲政史上では例を見ない「衆参同時の与党過半数割れ」という異常事態に突入する。

少数与党政権下では初の参院選が7月3日に公示された。投票日までの時間は限られているため、選挙後の体制づくりに向けた動きが始まっている。

退陣と紙一重の状況を切り抜け、G7サミットに出席した首相の石破茂。一時は足元を揺さぶったコメ問題は小泉進次郎の農相起用が的中し、内閣支持率が下げ止まった感がある。しかし石破にはなお高いハードルが残った。

「5・11政局」と呼んでいいだろう。6月22日の通常国会の会期末をにらんだ政局の動きはこの日に始まったとみられるからだ。その証しが5月11日の首相動静にある。

随意契約で売り渡された政府備蓄米の販売が大手スーパーで始まると、5キロ当たり2000円台のコメを買い求める消費者が長蛇の列を作り、即完売となった。暴言を発して農相を更迭された江藤拓に代わって農相に就任した小泉進次郎は石破が期待した通りの発信力と行動力を発揮した。

6月22日の国会の会期末まで1カ月を切った。最大の焦点は野党第1党の立憲民主党が内閣不信任案の提出に踏み切るかどうかにある。
