令和5年11月26日に、東京都の公立中学校に通う中学生を対象に、「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」が実施される。近年の英語教育改革にともない、ますますスピーキング力に英語教育の重点が置かれるようになっている。そんな中、中学英語を駆使してスピーキング力を鍛える1冊、『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』が発売された。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的なスピーキング力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「英語スピーキング力向上の方法」について話を聞いた。
中学英語スピーキングテストとは?
――令和5年11月26日に、東京都の公立中学校に通う全学年の中学生を対象に、「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」が実施されますが、どのようなテストなのでしょうか?
森秀夫(以下、森):4つのパートに分かれています。
A:英文を読み、英語の音声の特徴を理解して音読できるかが試されます。
B:読み取った情報について英語で質問されて、適切に応答できるかが試されます。
C:4コマ漫画を見て、それぞれの場面を英語で説明できるかが試されます。
D:身近なテーマに関して聞いたことについて、自分の意見とその理由を述べることができるかが試されます。
――Dの身近なテーマとは、どのような内容なのでしょうか?
森:例えば「まず、アメリカの学校の昼食についての意見を聞きます。その後、日本の給食では同じものを食べるべきか、異なるものを食べるべきかについて、自分の意見と理由を述べること」が求められます。
――意見とその理由を述べることが求められるのですね。難しそうですね。
森:中学校では、英語で日常的な話題や社会的な話題について、自分の意見やその理由を述べることが求められています。
日本語でも、しっかりと自分の意見を持つ
――英語で意見や理由を述べることは、中学生にはハードルが高いのではないでしょうか?
森:そうですね。英語の授業で教科書を読んで、英単語や文法の勉強をしただけでは、なかなか身につかないでしょう。
しかし、文部科学省の学習指導要領の中の外国語の話すこと[やり取り]には、「社会的な話題に関して聞いたり読んだりしたことについて、考えたことや感じたこと、その理由などを、簡単な語句や文を用いて述べ合うことができるようにする」とあります。
――どのような学習をすれば、自分の意見を英語で伝えられるようになるのでしょうか?
森:英単語や英文を覚えるだけでは、なかなか英語で意見を伝えられるようにはなりません。
言いたい意見がなければ、英語だけがうまくなっても、言うことがないからです。
日常的な話題や社会的な問題についても、日ごろから意識をもって情報収集し、自分の意見を持つことが大切なのです。
周りのことに関心がなければ、自分の意見を話すことなどできません。普段から、日本語でも自分の考えをしっかり持つ訓練をすることが大切です。
OREOの型を覚える
――英語で自分の意見を伝える際のコツはありますか?
森:OREOという型に慣れることです。OREOとは、
・Opinion(意見)「意見を先に述べる」
・Reason(理由)「理由を述べる」
・Example(例示)/ Evidence(証拠)「例や証拠を示す」
・Opinion(意見)「意見を繰り返す」
のことです。例えば、
「都会の生活が好きです。都会の生活は楽しいからです」
といっても、あまり説得力のある意見ではありません。
これをOREOの型にはめてみると次のようになります。
Opinion
⇒「都会の生活は、田舎の生活より好きです」
Reason
⇒「都会には多くの娯楽があるからです」
Example
⇒「例えば、コンサートホール、ミュージカル、ショッピングモール、美術館などで楽しく過ごすことができます」
Opinion
⇒「以上の理由から、田舎より都会の生活の方が好きです」
はじめに、自分の意見の要点を述べます。次に、理由とその根拠となる例や証拠を示します。
このように、OREOの型を意識して話すと、何をどの順番で話したり書いたりすればよいかが、はっきりします。そして、自分の意見やその理由を述べることができるようになるのです。
繰り返し練習することで、OREOの型が自分のものとなり、理由と例を示しながら根拠のある説明ができるようになります。
【参考文献】
『パターンで攻略 英語スピーキング入門』(森秀夫・Anderw Nicolai Struc)
『中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)令和4年度実施状況及び令和5年度実施について』(東京都教育庁)令和5年4月13日
「中学校英語スピーキングテスト(EAST-J)」→「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)」(23年11月7日10:00 書籍オンライン編集部)