「それ、すっごい面白いと思う」「最高だね! 完璧だわ!」

「よくここまで仕上げたねえ、やるもんだなあ」「美味い! 絶品!」

 ほんの20文字や5文字や1秒、そんな言葉をもらえるだけで、私たちは元気になれます。逆に言うと、そんな20文字や5文字や1秒を出し惜しみする人の周りでは、私たちの心の温度はじわじわと下がってしまうのではないでしょうか。

 昔、四谷二丁目交差点を入ったところにあった文化放送のレギュラー番組の収録前に、よく表通りのそば屋さんから出前を取りました。さださんは決まって「たぬきうどんと半ライス」でした。絶対にそれしか頼まないので、出前をとる際に私は「いつものたぬきうどんと半ライスでいいですか?」とたずねると、

「いいねえ。ありがとう。分かってるねえ、君は!」などと言ってくれます。もう50回くらい頼んでいるのに。そんな当たり前なことにまで感謝してくれる。

「うん」や「いいよ」で終わらせずに、「分かってるねえ、君は!」と言葉のプレゼントをくれる。またまたこちらも張り切ってしまうわけでございます。

「何やってるんだ!」と怒りたいときは「そうくるか!?」

 ほめる達人だって、カチンとくることもあります。相手に「何やってるんだ!」と言いたくなるシチュエーションだってあります。そんなシチュエーションでおすすめしているのが「そうくるか!」。

「何やってるんだ!」という時には、「そうくるか!?」「そうきたか!?」でいったん受け止める。なるべく脱力する感じで言うほど効果が上がります。これを言うと、いったんこちらの怒りのガス抜きができます。「まさか、そっち~?」とうなだれる。ではこの相手にどのように伝えたらいいだろう? と、少し冷静に、客観的になれる。

 私は若い頃、さださんにもずいぶんとこれ系のセリフを言わせておりました。寝坊もありました。ある時私が早朝さださんを迎えに行き、車で羽田へ向かう予定がありました。ところがその朝私は、さださんからの電話で目を覚まします。やば!