それは、大人になった私にとって毒家族はただの人であって、私をどうこうできる権力者ではないと理解することでした。
子供のときは、親やその他年上の家族(兄や姉、おじ、おば、祖父母、いとこなど)の誰かが、いつも一番力を持っていました。子供にとってはその人がすべてなのです。
でも、その力は、必ずしもその人が自ら得たものではありません。
単に体が大きかったり、年上だったり、自分の手で生計を立てていたりするというだけのことかもしれません。
それでも子供はその人に従い、言われるがまま行動しなければなりません。そしてその人の真似をします。
その人に愛され、認められ、支持され、導かれ、時間を割かれ、注目されたいと願います。
文句を言わず、大人しくしていなくてはなりません。
疑問を口にしたり、反抗したりしてもいけません。
何でもその人の言う通りにします。
その人を喜ばせ、誇らしく思ってもらうためなら、全力で正しい行動を披露して期待に応えようとします。
ですが、そんなことは同じ屋根の下で生活している時にしか意味を成しません。
私は、自分の兄弟、母、父をもう家族と見なさないと決めた日のことを一生忘れないでしょう。
長いこと彼らからの虐待に耐え続けた末に、彼らの残酷さを目の当たりにした決定的な出来事があり、私は確信しました。
彼らは私にとってただの人であり、それ以上の何者でもないのだ、と。
人に「母」「父」「姉・妹」「兄・弟」などの肩書を与えてしまうと、それだけで彼らは重要な存在になり、優位に立って、あなたの人生において力を持ってしまいます。
あなたが生まれたときは、すでに彼らはそれらの肩書を手にしていて、彼らを敬う以外にあなたに選択肢はありませんでした。
ですが大人になれば、たとえ法的に絶縁することは叶わなくとも、感情の面では心理的に絶縁することができます。
私が大人になってから、家族にこれでもかというほどひどい仕打ちを受けたとき、私は彼らを「父」や「母」といった関係性を表す名称で呼ぶのをやめました。
それからというもの、彼らのことは、それぞれの名前で呼んでいます。
これが驚くほど、私にとっても、私のクライエントたちにとっても、精神的に絶大な効果を発揮しています。
ふさわしくない肩書は
取り上げていい
家族という肩書を与えるにふさわしくない家族なら、そんな肩書は取り上げてしまいましょう。
この単純な境界線のおかげで、あなたの家族はただの人であることを思い出せるようになるでしょう。
彼らをありのままの人間として見ることができるようになります。
彼らが、かつて手にしていた肩書を虐待と支配によって自らないがしろにし、もはやあなたにとって家族でも導いてくれる者でもなくなったのなら、そんな肩書は剥奪してしまうべきです。
毒家族に苦しむ人々を救う心理学者であり、家族との絶縁を手伝う専門家として全米で知られている。かつてBBM Global NetworkとTuneIn Radioで自身のラジオ番組「Dr. Sherrie Show」を主宰していた。講演者、SNSのインフルエンサーとしても知られ、メディアにも頻繁に取り上げられている。著書に『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(ダイヤモンド社)などがある。
※本稿は、シェリー・キャンベル著 髙瀨みどり訳『幸せになるには親を捨てるしかなかった』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。