「最後に何か質問はありますか?」
採用面接で必ずと言っていいほど聞かれる質問だ。コンサル22年の知見を凝縮した『頭のいい人が話す前に考えていること』の著者である安達氏は面接官として数々の応募者を見てきた。そして、応募者が優秀かどうか一番わかる瞬間がこの「最後の質問」だそうだ。「最後に何か質問はありますか?」と聞かれてあなたは何を質問しますか? 少し考えてからこの記事を読み進めてみてください。(初出:2023年4月29日)
コンサルが面接で重視していたこととは?
コンサルとして数々の面接に立ち会ってきた。その経験から、「面接で何を見ているんですか?」と聞かれることは多い。
実は、応募者が面接官の質問に対して「どう答えるか」はそこまで重要視していなかった。
応募者は普通、「面接で何を答えるか」を準備をしてくる。準備した答えで「地頭のよさ」を見ることは難しい。
とはいえ、面接官によって採用にばらつきがでるといけないので、ある程度質問事項が決まっていたりする。したがって、突飛な質問をして相手を試すようなこともやりにくい。
そこで私が重要視していたのは、「応募者からの質問」である。つまり、「どう答えるか」ではなく「何を聞くのか」を重視していたのだ。応募者からの質問のレベルで、「優秀かどうか」「頭がいいか」はある程度把握できる。
例えば、よくある質問は「残業時間はどの程度ですか」であるとか、「平均年齢はどの程度なのですか」という質問である。
この質問はあまりいい質問とは言えない。もちろん聞かれたら正確に答えるが、端的に言えば、「それを聞いてどうすんの?」という感じだ。
さらに、「社内の雰囲気はどうですか?」という質問や、「どのような企業文化なのか教えてください」といった、答えにくい質問も頭のいい質問とは言えない。
会社の雰囲気を説明するのは難しいし、なによりも「雰囲気」というのは人によって感じ方が違う。そんな情報を仕入れてどうしようというのか。
「御社の会社の強みを教えてください」という、どこかで聞きかじったような質問をしてくる人もいる。そういう時は逆に「あなたはどう考えていますか?」聞きたくなる。(偏見があるかもしれないが)大体においてこの質問をする方は、企業研究不足であるから、的はずれなことしか言わない。
ちゃんと研究してきている人は、質問を「私は◯◯が御社の強みだと思いますし、ホームページにもそう書いてあります。しかし、現在の状況から見ると競合に対してこれは強みとは言えない気もしますが、どう考えているのでしょう」といった自分の意見も交えて質問をしてくるだろう。
それはそれでいい。
しかし「優秀だな」「頭いいな」と思う質問はもっと別の質問だ。
随分前の話になるが、今でも記憶に残る応募者がいる。
その応募者は我々の「最後に質問はありますか?」という問いかけに対して、
「若干立ち入ったことをお聞きしたいのですが」
と前置きをしてこう話し始めた。