「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
言語化に最も必要な力は?
言語化力を上げるために、私が最も重視しているのが実はSTEP2の「具体化力」です。具体化というのは、「何を伝えるか」の「何」の部分。具のない味噌汁が味気ないのと同じように、言語化でも「具(体)」が重要なのです。
うまく言葉にできない原因は、大きく2つあります。
1つは、伝えたい思いはあるのだけども、頭の中がこんがらがって整理できていない状態です。
もう1つは、本当に何も思い浮かばない状態、つまりは、思考が停止した状態です。その場合は「わからない」「なんとなく」などの言葉でかわすか、「まあ楽しいです」「すてきだと思う」など、表層の言葉をすくい取ることくらいしかできません。
いずれの場合も、「伝え方」を考える前に、「何を」伝えるべきなのかを整理する必要があります。
頭の中で情報がこんがらがっているのであれば、それを紐解く必要がありますし、何も思い浮かばないなら、自分の奥深くから思いや感情や情報を引っ張り出してくる作業が必要です。それが「具体化」の本丸です。
ただし、具体化するためには、そもそも語彙力がないといけません。喜怒哀楽のすべてを「ヤバイ」で表現しているようでは、深めようがないからです。また、具体化した後は、相手に合わせて伝え方を工夫する必要があります。
つまり「STEP1 語彙力を伸ばす」「STEP2 具体化力を鍛える」「STEP3 伝達力を磨く」。この3STEPをセットで実践することでようやく言語化力がアップするのです。
*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。