イラン・コーエン(59)さんは、娘のシールさんが小学2年生の時に出された恐ろしい宿題を額に入れ、居間に飾っている。そこに書かれているのは、家の中のさまざまな場所から防空ごうにたどり着くまでの時間だ。両親の寝室から10秒。両親のクローゼットから18秒。きょうだいの寝室から10秒。シールさんがこの宿題を終わらせたのは20年近く前だ。だがコーエンさん一家や、ガザからロケット弾が届く距離に住む何十万ものイスラエル人にとって、状況は年々悪化する一方だ。「いつもおびえている。自分にうそをついて、大丈夫だと言う。でもそうではない」。救急病棟の受付責任者で故郷のアシュケロン市に住み続けているコーエンさんは言う。