「たまらなく嫌や」中国マネーが大阪・道頓堀を飲み込む!“儲かってなんぼ”が命取り?日本きっての観光地「道頓堀」にも中国資本が参入する(著者撮影)

チャイナマネーが向かう不動産投資、その主戦場は東京から大阪にシフトしている。中国からの資本が投下され変貌を見せる大阪には、評価される一面とそうでない一面が混在し、中国資本に対する見方も分かれる。(「China Report」著者 ジャーナリスト 姫田小夏)

上海よりはるかに安い「大阪はお買い得」

 2023年6月末、大阪府の在留外国人数は28万5272人となった。大阪府の中国人の数はこの20年間でほぼ倍増し、22年12月末の時点で、6万9101人になった(数字は出入国在留管理庁)。

 大阪市内に13年住み続ける陳芳さん(仮名)はこう話す。「大阪はさまざまな国から来た人たちが住んでいるので、私たちも暮らしやすい。人情もあるし、細かいことにはこだわらない、そんな大阪の人の気質がなじむんです」。ストレスフルな東京とは異なる“ゆるい空気”が心地いいようだ。

 東京に次ぐ大都市である大阪を「宝の山」だと見る中国人は多い。それは、取りも直さず不動産価格の安さにある。道頓堀にあるスナックの中国人ママ・朱虹さん(仮名)は「私の上海の友人は、大阪のタワマンの30階を8000万円で即買いしました」と話す。

“即買い”の背景には円安効果もあるだろうが、決め手は価格だ。上海の新築住宅(主にマンション)の平均取引価格は平米単価で6万4043元(2023年上半期、中指研究院)、日本円にして約128万円であるのに対し、大阪市の新築マンションの平米単価は89万円(2023年上半期、不動産経済研究所)である。

 中国資本からすれば、そんな大阪は「めっちゃお買い得」だ。住宅ではその階の住戸すべてを買い占める“フロア買い”、雑居ビルやオフィスビルでは“一棟買い”、しかも件数にして2桁に上る購入…こうした事例は枚挙にいとまがない。

 このような動きが潜在する近年の大阪市の不動産動向は専門家も目を見張る。東京カンテイ上席主任研究員の井出武氏は「大阪駅北地区や難波のけん引が価値上昇をもたらし、中心部のマンション価格は新築中古ともに、ものすごく上昇している」とコメントする。

 そんな大阪で、チャイナマネーは意外なエリアに入り込んでいる。