イタリア人は
新築に興味がない!?

 家屋についてもイタリア人の環境に配慮した考え方がわかります。地震などの災害が多い日本とは条件が違いますが、イタリア人は、マイホームをいちから建てるという考えは基本的にありません。中古の家を購入し、リフォームして暮らす人がほとんどです。

 日本の国土交通省が発表した、2022年の日本の新設住宅着工戸数は、およそ860,000戸という結果でした。一方、イタリアは、Istatの調査によると、2020年に建てられた新築住宅の建築件数はおよそ49,000戸でした。人口数の違いもありますが、建築件数に大きな差があることがわかります。

 イタリア人は今ある資源を大切に活用しながら、生活を豊かにするにはどうするべきかを考えるのが得意なようです。

「なぜモノを捨てないか」イタリア人の義母に聞いたら、かえってきた世界規模の答え古い家屋が立ち並ぶイタリアの街並み  Photo :Unsplash


 町の至るところでも、環境を守るための取り組みが行われています。まず、自動車による排ガス量を減らすための、自転車や電動スクーターのシェアリングシステムです。町を歩けば、さまざまな場所に駐車してある自転車や電動スクーターが目に入ります。

 利用方法は簡単で、専用のアプリを入手し、地図上で現在利用可能な自転車、または電動スクーターを探します。現在地の近くにあるものを予約し、ロックを解除すれば完了です。

 提供している会社によってサービス内容は違いますが、最初の30分は無料、24時間利用可能など、サービスにも工夫が施されています。そして料金プランに関しても、1日使い放題から年間パスまで利用者のニーズに合わせてさまざまなプランが準備されています。

「なぜモノを捨てないか」イタリア人の義母に聞いたら、かえってきた世界規模の答え歩道に停められているシェアリング用の自転車  Photo by S.T.

 日本と同様、またはそれ以上にイタリアも新型コロナウイルスの影響を受けました。そのため国民は不便な生活を強いられました。限られた自由の中で、人々が楽しんだのはランチやディナーの出前サービスでした。パンデミック後も出前サービスやテイクアウトの人気は継続しており、人々は家や屋外での食事を楽しんでいます。

 テイクアウトや、出前で使用される容器は紙で作られたものを使っているレストランが増えています。カトラリーも木から作られたものが多く、プラスチック製を使っているレストランは少なくなりました。

 スーパー内や町のパン屋、マーケットなどでも、購入したパンや野菜、果物などはプラスチック袋ではなく、紙袋に入れて渡されます。義母はこの紙袋も捨てずにおいておき、野菜や果物を入れるなどして再利用しています。