気候変動やサステナビリティを学ぶ
イタリアの子どもたち
最後に、近年話題になった、新しいイタリア政府の取り組みを2つご紹介します。
2020年、子どもが環境問題に目を向けて考える力を養えるように、ヨーロッパで初めて必須科目として「環境教育」を導入しました。
小学生から高校生までの間で33時間カリキュラムに組み込まれており、週に約1時間、気候変動やサステナビリティなど環境問題に関するトピックについて学びます。学校で学ぶことで、環境問題に関する意識がこれまで以上に高まっていくでしょう。
また、2021年には、大型クルーズ船がヴェネツィアのサン・マルコ広場の前に停船することを禁止しました。
ヴェネツィアは、世界で最も有名で美しい観光地のひとつで、毎年多くの観光客が訪れます。コロナ禍が明けて水の都に活気が戻り、観光産業は右肩上がりですが、それに伴い新たな環境問題が注視されています。それはヴェネツィアを始めとする、ヨーロッパの大都市に停泊する大型クルーズ船の大気汚染です。
大型クルーズ船が排出する硫黄酸化物は、人体に健康被害を及ぼすことがわかっており、ぜん息などの呼吸器疾患を悪化させたり、酸性雨を降らせる原因といわれています。
大量の大型クルーズ船により、ヴェネツィアは2019年、ヨーロッパで最も汚染された港となりました。そのためイタリアは、前述したように、大型クルーズ船の停船を禁止したのです。歴史ある美しい町の大気汚染に、ストップをかけようという意図です。
イタリアは環境問題を改善しようと、さまざまな取り組みを積極的に行っています。国民の意識も高く、日々、ひとりひとりができることを行い、環境に優しい暮らし方をしていると感じます。日本でも見習えることがあるのではないでしょうか。