「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
読書は言葉と情報の宝庫
読書は、新しい言葉や情報の宝庫です。優秀なビジネスマンは読書家であることが多く、ビル・ゲイツは1年で50冊読むことを目標にしているそうです。
読書のススメなんて、小学校のようなことを今さら言われたくないと思うかもしれません。しかし、読書によってビジネスパーソンにどれほどの差がつくのか、想像したことがありますか?
年収が高い人は読書量が多い
アメリカの「Business Management Degree」に掲載された研究データによると、富裕層の88%が1日30分以上ビジネス書などを読んでいるのに対して、年収300万円以下の人はわずか2%とのこと。この明確な差を無視することはできません。おそらく富裕層は、読書を通じて、仕事や人生に役立つインプットを行なっているのでしょう。
それでは、日本の場合の読書事情はどうでしょうか。
2018年に「楽天ブックス」が実施した「上司と部下の読書事情に関する調査」によると、なんと全体の6割が、「月に読む本が1冊未満」であることがわかりました。これは「月に10冊以上の本を読む人」(3.9%)の15倍以上にのぼります。
残念な結果ですが、見方を変えれば、これは大きなチャンスとも言えます。読書量を増やすことによって、新しい言葉や情報に出会えるチャンスが一気に広がるからです。そのうえ、年収が増える可能性も秘めているわけです。
「アクティブ・リーディング」で読書の生産性を上げる
とはいえ、ビジネスパーソンにとって読書する時間を捻出するのもなかなか難しいものです。ですから、読書タイムの生産性をより高いものにする方法「アクティブ・リーディング」の方法をお伝えしましょう。せっかく大事な時間を使って読書をするわけです。1冊の本から効率よく言葉や情報を獲得して、なおかつ、忘れないようにしたいですよね。
アクティブ・リーディングを実践することで、本に載っている言葉や情報が頭に入りやすくなり、記憶への定着率も高まります。
セミナーにたとえるなら、講師が一方的に話す講義スタイルではなく、講師に質問したり、参加者同士で話し合ったりしながら、しっかりと知識を深めていくスタイルに似ています。
読書の生産性を上げる「アクティブ・リーディング」のやり方
アクティブ・リーディングのポイントは次の6つです。
1 「自分がこの文章を読む目的」を考えながら読む
2 目次や小見出しがある場合は、事前に目を通す(全体を把握する)
3 読み終えたらアウトプットする(書く・話す・説明する)と決めて読む
4 「なぜ?」「何が?」「どういう意味?」などつっこみを入れながら読む
5 記憶に残したいところや大事なポイントに、線やマーカーを引く
6 読み終えたら実際にアウトプットする
事前に、Amazonなどのレビューに目を通してから読むという方法も有効です。また6のアウトプットは、
・SNSに感想を書く ・Amazonなどにレビューを書く ・ノートに気づきや学びをまとめる ・誰かに感想を話す
など、何でも構いません。本のレベルは「ちょっと難しい」くらいがもっともよいでしょう。7割は既知情報、3割は新規情報くらいの割合の本が理想です。
*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。