「生きづらさを抱えている人」のたった1つの特徴とは、いったい何か?
それを教えてくれるのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「生きづらさ」の正体は?
社会には、生きづらさを感じさせる「さまざまな背景」があります。
● 過去のトラウマ
● 家庭関係
● いじめ
● 感覚過敏
● コミュ障
● アダルトチルドレン
● 恋愛恐怖
などの要因が、あなたを生きにくくさせています。
その背景に目を向けず、薬に頼ったり、マインドフルネスや自己肯定感などを取り入れても、一時的な解決にしかなりません。
それらのアプローチには、「自分のことを正しく知る」という前提条件が抜け落ちているからです。
自分のことを客観的に正しく評価するというのは、口に出すよりも実践することが難しいものなのかもしれません。
メンタルが弱い人は、自己否認をする思考パターンについて「気づく」ことで自分の考え方の偏りをとらえ、徐々に心を整えられるようになります。
「第三者のように自分を評価する視点」を得ることができたのです。
心の足りないピースを埋めよう
心を平衡に戻すための力のことを、近年では「レジリエンス」と呼びます。
その力は、生まれたときの能力とは関係なく、自力で身につけられる能力だということがわかっています。
そのための10個の方法が次です。
① あたたかい関係を築くこと
② 問題を克服できないと思わないこと
③ 変えられることと変えられないことがあると受容すること
④ 現実的な目標を立てて進もうとすること
⑤ 自分で決断をすること
⑥ 失敗しても、そこから学ぼうとすること
⑦ 前向きな考え方を自分で賞賛すること
⑧ 長期的な視野が持てること
⑨ 希望を抱き続けること
⑩ 自分をいたわってあげること
といっても、これらを完璧に満たす必要はありません。
この中から「『感情的な私』がほしがっているものを選び、『理性的な私』が与える」というスタンスが大事です。
人間の脳というものは、いわばとても精巧につくられたコンピューターで、不足しているものに信号を出すようにできています。
水が足りなければ喉が渇き、暑ければ汗をかき、孤独感をなくすために人肌恋しくさせたりします。
自分を知り、足りないピースを埋めることが、心に平穏を呼ぶ行為なのだということを、まずは心に留め置いてください。
「メンヘラになるとき」には6タイプがある
私たちは、オタクや陰キャ、山ガールや夢女子など、目立つ個性を特定の枠に「カテゴライズ」することが大好きです。
たくさんの人と出会うことが多くなったことで、事前に相手や自分のことを知り、初対面の人と話さなければならない不安を減らすための、ある種の防衛手段になるからです。
自分がどういう人間なのかを「カテゴライズ」することで、自己紹介も容易になり、お互いの不安を減らすことができます。
カテゴライズは、人間関係を円滑にするため、不安を減らすための名刺やメッセージカードのような便利なツールなのです。
その一方で、「自分という人間は変えられない」という思い込みを生んでしまう可能性もあります。
よくある思い込みは、「血液型占い」です。
「A型はまじめな人」「O型はおおざっぱ」という思い込みは根強いですよね。
人には、誰にでも当てはまるようなカテゴライズをさも自分のためのものだと思い込んでしまう、という心理的な特徴があります。
ここでのカテゴライズはそのような極端なものではありません。
人によっては1つのタイプだけ強く当てはまる人もいるでしょう。あるいは、6つすべてのタイプになんとなく当てはまる人もいると思います。
「感情的な私」が出てきたときに、「理性的な私」によって、
「今のイライラやモヤモヤはどのタイプだろう?」
と、自分の感情を考えてみることが大事です。それが、
1 すぐ人を嫌いになる(二極型)
2 何かを好きになりすぎる(依存型)
3 何もかもがむなしくなる(空虚型)
4 自信がなくなる(自己同一型)
5 イライラが止まらなくなる(爆発型)
6 すべてがどうでもよくなる(自己破壊型)
という6タイプです。
まずは、ザックリと一読して、こういう瞬間があるかどうかを考えてみてください。
自分の気持ちを理解すれば、あとは感情をコントロールしていくだけで大丈夫です。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』より一部を抜粋・編集したものです)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。