コロナの感染拡大による在宅勤務や生活スタイルの変化により、20~30代の若い人たちの間で、つみたてNISA口座を開設する動きが急増した。そして、2024年からは新NISAがスタートする。本連載では、新NISAをきっかけに投資や資産形成を始めてみたいという人に向けて、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説していく。『新NISAはこの9本から選びなさい』(中野晴啓著、ダイヤモンド社)の内容を基に、一部を抜粋して公開する。「新NISAってなに?」というビギナーの人でも大丈夫。基本的なところからわかりやすく説明するので、ぜひ最後までお付き合いください。
定期預金で毎月10万円を15年間積み立てた場合、
利率が年0・002%だと、リターンはたったの2685円!
前回の続きですが、「つみたて投資枠」で1800万円まで積み立てることができるようになると、実際、どのくらい将来の資産に違いが生じてくるのでしょうか。
年間120万円(毎月10万円×12か月)を積み立てた場合、1800万円の生涯投資枠を埋めるのにかかる年数は15年です。これを定期預金で積み立てた場合と、投資信託で積み立てた場合とで比較してみましょう。
定期預金で毎月10万円を15年間積み立てた場合は、現在の年0・002%の利率だと1800万2685円になります(年1回の複利計算)。1800万2685円という金額を見て、「お、意外とたまるもんだな」と思った方もいらっしゃると思います。
けれども、毎月10万円を15年間積み立てた時の元本部分は、10万円×12か月×15年ですから、1800万円。つまり、リターンはたったの2685円しかありません。2685円から税金20%を引かれてもあまり痛手ではないでしょう。
6%の平均リターンが得られた場合、
15年後に利益は2900万円以上に!
しかし、もし利回りが次のようなものだとしたらどうでしょうか。
もし投資信託で年6%の平均リターンが得られた場合、15年後には最終的になんと2908万1871円にもなるのです(非課税計算)。
この利益を税率20・315%で計算すると、225万円以上(2908万円-1800万円=1108万円の20・315%)もの税金が非課税になるのですから、いかに、この制度が大盤振る舞いであるかが、分かるのではないでしょうか。
投資信託を使った長期投資は、
資産形成にうってつけの方法
現在の年0・001%という普通預金の低金利が当たり前の状況では、自分のお金が6%もの利回りで増えていく、というイメージはなかなか持てないかもしれません。
しかし、いい投資信託を選んで正しく行動していけば、それが実現できる可能性は十分あるのです。
もともと、投資信託というのは、大勢の個人から少しずつ資金を集めて、その資金で世界中のさまざまな資産に分散投資するというしくみです。
まとまったお金がない、また自分で運用する時間がないといった個人にとって、長期的な資産形成をするには、非常に適しているものなのです。
なかのアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
1987年明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長、2020年6月代表取締役会長CEOに就任、2023年6月に退任。
2023年9月1日なかのアセットマネジメントを設立。
全国各地で講演やセミナーを行い、社会を元気にする活動とともに、積み立てによる資産形成を広く説き「つみたて王子」と呼ばれる。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。
著書に『新NISAはこの9本から選びなさい』『最新版 つみたてNISAはこの9本から選びなさい』(ダイヤモンド社)他多数。