日本の輸出シェア「3%」まで低下、直視すべき日本版の貿易と財政“双子の赤字”Photo:PIXTA

近視眼的な総合経済対策
後ろに置かれた日本の構造問題

 政府は11月2日、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定したが、目玉とされる一人当たり4万円の所得減税やガソリンや電気ガス補助金など、物価高問題など当面当座の対応が目に付く。

 すでに需要不足を示す「需給ギャップ」は解消し、景気は緩やかながらも回復傾向が続いているなかで、21.8兆円という巨額の財政支出を行うことの必要性を疑問視する声は多い。

 中長期的な不透明感が強いなか、民間の自律回復力に任せればよいという局面ではないのも確かだが、懸念するのは、日本経済が抱える財政と貿易の「2つの赤字」問題が経済対策の後ろに置かれてしまっていることだ。

 とりわけ貿易赤字の拡大はいまの円安や物価高の要因になっているだけでなく、将来の財政ファイナンスの不安定化につながり、財政赤字と相乗的に日本経済の弱体化を加速させかねない問題だ。