池田氏が築き上げた
「集票力」という武器は健在

 こういった状況を受けて、自公連立政権の存続について不安や不信感を抱いている公明党支持者も一定数いるだろう。池田氏の死去に伴って不満を抑えきれなくなり、自公連立が不安定化するという見方もできなくはない。

 しかし「選挙での協力態勢」となると、自民党にとって公明党が重要であることに変わりはないだろう。

 自公連立は20年以上続いてきた。公明党はその間、支持母体である創価学会の集票力を武器に、さまざまな選挙区の自民党候補に「組織票」を提供するなど協力してきた。自民党が維新・国民と連立政権を組むならば、この組織票は失われてしまう。

 特に維新は今年の統一地方選で躍進したが、全国政党化に向けては、まだ第一歩を踏み出したばかりだ(第329回)。統一地方選後の全国の首長選挙では苦戦が続いている。維新の組織力は、まだ全国的に確立されていないのが現実だ。

 これでは、自民党が本気で「連立入れ替え」を検討するとは考えにくい。

 現実的な話をすると、自公は政策のすり合わせを繰り返しながら関係を築いてきた。その積み重ねによって、両党に所属する政治家だけでなく、その支持者レベルでも結び付きが強まっている。

 自公連立政権に影響を及ぼしてきた池田氏が亡くなったとはいえ、公明党(および創価学会)の支持者が小選挙区で各党の政策を見比べたときに、「自民党以外」を選ぶとは考えにくい。

 だからこそ自公両党は、今後も政策や選挙態勢の面で、別れることができない「腐れ縁」として関係を続けていくと筆者は考える。

 池田大作というカリスマは消えた。だが、そのリアリズムによって築き上げられた「集票力」という武器は政界に残り続けていくのだろう。