池田大作氏が死すとも自公関係は死せず、「腐れ縁」は今後も続く理由2008年、中国の胡錦濤国家主席(当時)と会談する創価学会の池田大作名誉会長 Photo:JIJI

公明党を創設し、政界に多大な影響力を誇っていた池田大作氏(「創価学会」名誉会長)が亡くなった。池田氏はこれまでどのように政治と関わってきたのか。また、自民党・公明党の関係性は、池田氏の死によってどう変わっていくのか。政治学者の視点から読み解いていく。(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)

故・池田大作氏への哀悼文を投稿した
岸田首相が“炎上”

 宗教団体「創価学会」の池田大作名誉会長が11月15日に死去した。岸田文雄首相は訃報を受け、池田氏に哀悼の意を表するツイートを「X(旧Twitter)」に投稿した。

「池田大作氏の御逝去の報に接し、深い悲しみにたえません。(中略)御遺族の方々および御関係の方々に対し衷心より哀悼の意を表します」というもので、「内閣総理大臣 岸田文雄」という署名も添えられていた。

池田大作氏が死すとも自公関係は死せず、「腐れ縁」は今後も続く理由岸田文雄首相による、故・池田大作氏への「哀悼ツイート」

 その結果、ネット上ではこの投稿を疑問視する声が続出。いわゆる“炎上”状態となった。故・安倍晋三元首相の暗殺事件が起きて以降、政治と宗教の密接な関係に対して国民は非常にデリケートになっている。岸田首相の投稿はやや軽率だったのかもしれない。

 一方で、国民の側も冷静さを保つことが必要だ。確かに日本国憲法では「政教分離」の原則の下、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」などと定められている。ただ、宗教団体が政治活動を行うこと自体は厳密には違法ではない。

 国民は政治と宗教の接点を見いだしたとき、それだけを理由に過度なバッシングを行うべきではないといえる。事実上の「宗教弾圧」につながりかねないからだ。

 その死をきっかけに、政治と宗教を巡る議論をさらに過熱させる池田氏は、これまでどのように政治と関わってきたのか。また、岸田首相が率いる自民党と、創価学会の支持を受ける公明党の関係性は、池田氏の死によってどう変わっていくのか。

 歴史をひもときながら、政治学者としての見解を述べていきたい。