子どもは親を選べないが……「親ガチャ」で諦める必要はない
子どもの学力は親の経済力しだい、どんな学歴を手に入れられるか、将来どのくらい稼げるようになるかも親の経済力しだいであり、裕福な家庭に生まれない限り、学力や将来の経済力に期待できないと考える人が多いせいか、「親ガチャ」などという言葉まで生まれ、若者たちの間に諦めムードが漂っている。
どんな親のもとに生まれるかで人生が決まってしまうけれど、子どもは親を選べない、それは運命として受け入れるしかない、といった意味合いで用いられているようである。これは、お金を入れて、ガチャッと回して、何が出てくるかは運しだい、ほしいものが出てくればアタリ、ほしくないものが出てきたらハズレとなる、ガチャポンとかガチャガチャと呼ばれるプラスティックの透明のカプセルに入ったオモチャに由来する言葉である。自分の将来に期待が持てるような家庭であれば「親ガチャ」アタリあるいは成功、期待がもてないような家庭であれば「親ガチャ」ハズレあるいは失敗というわけだ。
だが、先ほど紹介した調査研究の結果でもわかるように、読書によって生まれ育った家庭のハンディを乗り越えることができるのである。読書が学力格差を乗り越えるための最強の武器になるということの科学的根拠については、後ほど紹介していくことにする。
なぜ読書によって学力が高まるのか?
どんな科目の教科書も日本語によって書かれており、どんな科目の先生の解説も日本語で話されることから、学力を高めるには日本語の語彙力や読解力を高める必要があるのは当然のことと言える。
読書と語彙力の関係については、多くの調査研究が行われているが、就学前の幼児を対象とした調査研究、小学生を対象とした調査研究、中学生や高校生を対象とした調査研究、大学生や大学院生を対象とした調査研究、どれをみても読書量が多いほど語彙力が高いといった傾向が一貫して示されている。
読書すれば多くの言葉に触れることになるので、読書によって多くの言葉に触れている子と、読書をあまりせず日常の会話以外の言葉に触れる機会の少ない子では、獲得している言葉の数が違うのも当然である。