なぜテストの点数が悪い子に限って「自己採点は自信満々」なのか?写真はイメージです Photo:PIXTA

テストが終わったあと、「バッチリできたよ!」と自信満々な子どもよりも、「良くできなかったかも……」と落ち込む子どものほうが成績が良い、ということがある。不思議だと思うかもしれないが、これは珍しいことではない。成績がなかなか上がらない子どもの特徴の一つに「自分の理解度や成績を過大評価する」という傾向がある。このバイアスを改善するにはどうしたら良いのだろうか?(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

※本記事は『勉強ができる子は何が違うのか』から抜粋・再編集したものです。

勉強ができる子はメタ認知ができている

 自分自身の認知活動についての認知がメタ認知である。勉強に関して言えば、勉強するという認知活動を振り返り、その現状をモニターすることにより、問題点を把握するのがメタ認知の働きと言える。

 たとえば、学習内容に関して、自分はちゃんと理解できているか、どこかでつまずいていないか、よくわからなかったのはどこかなどと振り返ったり、問題を解いている際にも、自分は今どんな解法を用いているか、それはこの問題に有効だろうか、他に方法はないだろうかなどと振り返りつつ取り組んだり、間違った際には、自分の手順のどこがまずかったか、何を思ってそういう間違いに至ったか、自分はどういう間違いをしやすいかなどと振り返ったりするのがメタ認知である。

 メタ認知がうまく機能していない場合は、自分の勉強の仕方に問題があっても、それに気づくことができず、不適切なやり方を続けるため、成績の向上が期待できない。

 メタ認知が適切に働いていれば、自分の勉強の仕方に問題点があるかどうかをチェックし、問題点があればそこを改善するための対処行動を取ることができる。それによって成績の向上が期待できる。

 学習活動に関するメタ認知の研究としては、本人自身の理解度判断と実際の試験の成績のズレについての研究が盛んに行われてきた。いわば、本人の予想と実際の成績のズレについての研究だ。ズレが大きいということは、自分の理解度の現状をきちんと把握できていないことを意味する。