乗務員は中国語が必須?
自分の席に戻ると、バティックを着てにこやかに笑みを浮かべた乗務員が歩いてきた。「乗務員は中国語必須」という情報がインドネシアのSNSに出回り炎上していたので確かめてみたかった。「ニイハオ!」と中国語で声をかけると、「ニイハオ、シエンション。ニイジャオシェンマ?(こんにちは、お客様。お名前は?)」と返ってきた。
詳しく話を聞くと、乗務員は福利厚生の一環として無料で中国語研修が受けられるとのことだった。他の乗務員もあいさつくらいはできるそうだ。
そうこうしているうちにバンドン側のターミナル、テガルアール駅に着いた。あっという間だ。改札は6つあるが、3つしか使っておらず、大行列ができていた。オペレーションはまだまだ試行段階という気がした。
この駅は周囲に何もないような郊外にあり、構内にレストランやカフェなどはまだ一つもできていなかった。駅員に聞くと「(外に)屋台ならある」と教えられ、あぜんとした。
駅のチケット販売機にエラーが出たようで、インドネシア人スタッフと先ほどの中国人技術者がケータイで翻訳サイトを介してやり取りしつつ修理をしていた。どうやらWeChatグループがあるようで、そこで具体的なトラブルシューティングのためのやり取りが行われているようだ。
開業からそろそろ2カ月がたつ。遅れが出るなどの小さなトラブルやオペレーションの不手際はあるようだが、開業したばかりの路線ではよくあることで、今のところ大きな問題は起きていない。中国がこれからも東南アジアで高速鉄道ネットワークを整備していくかどうかは、インドネシア高速鉄道がどれだけ財政面・運用上共に安定して運行していけるのかが一つの試金石となりそうだ。