「肉=スタミナ源」というイメージを持っている人が多いですが、じつは健康面では、肉はさまざまな問題点が指摘されています。『健康になる技術 大全』の著者・林英恵さんは「肉を食べ続けたければ、どのようなタイプの肉がいいのかや、疾患のリスクをきちんと知っておくことが重要」と指摘しています。
そこで本稿では、読者から「健康関連本としてはブッチギリのベスト」「一家に1冊置いておくべき」と話題を呼んでいる本書から一部を抜粋・編集して、食事面で注意が必要な「ハロー効果」について解説します。
監修:イチローカワチ(ハーバード公衆衛生大学院教授 元学部長)
*書籍『健康になる技術 大全』の「食事の章」はケンブリッジ大学疫学ユニット上級研究員 今村文昭博士による監修
食事で要注意な「ハロー効果」とは?
肉をよく食べる人に知っておいてもらいたいトリックを紹介します。
「ハロー効果(halo effect・ハロー エフェクト)」という言葉を知っていますか? 英語で「ハロー」とは天使の頭上にある輪を指します。天使の輪がついていると、普通の人でも、聖人のように素晴らしく見えてしまうことを皮肉交じりに例えた表現です(*1,2)。
何か目立つものがあると、それに引っ張られて、実際よりもよく見えることを示しています。特に食事の分野では、気をつけなければならない「ハロー効果」がたくさんあります。
ファストフード店やレストランのメニューに肉料理の写真が載っていたら、よく見てみてください。肉料理のそばには、パセリやレタス、セロリのような、ほんの少しの緑の野菜が添えられていませんか? これが、ハロー効果の罠です。
ステーキの横に「小さな緑の野菜」を添える理由
実際、ハンバーガーにセロリ(小さく切ったもの3本)がついている場合とそうでない場合、人々は、セロリがついたハンバーガーのカロリーを100キロカロリー以上低く見積もることがわかりました。つまり、セロリ(小さな緑の野菜)は「ちょっと健康そうな感じ」を演出するのに機能しているのです。
小さな緑の野菜があるだけでカロリーを低く見積もる傾向は、一般の人よりも、皮肉にも、食事に気を使うダイエット中の人により多く見られました(*3,4)。
ハンバーガー以外でも、ステーキやフライドチキンについているほんの少しの緑の野菜は、「肉を食べていい!」という自分へのゴーサインを出しやすくするために置いてある、といっても過言ではありません。
ファストフードを食べようとする時などに、少し野菜もついているから大丈夫だろう、と思いそうになったら、ハロー効果の話を思い出してください。
(本稿は、林英恵著『健康になる技術 大全』より一部を抜粋・編集したものです)