アンダーアーマーは伊藤忠傘下入りで復活なるか、新トップが明かす「リベンジ出店戦略」Photo by Nami Shitamoto

伊藤忠商事は2022年4月、米アンダーアーマーの日本総代理店であるドームを買収した。新体制で創業者からトップのバトンを受け継いだ伊藤忠出身の北島義典社長は「アンダーアーマーを伊藤忠を引っ張るブランドにする」と断言する。アンダーアーマーは再成長が可能なのか。北島氏に今後の出店や商品開発の計画など復活に向けた戦略を聞いた。(ダイヤモンド編集部 下本菜実)

成熟期からもう一度、成長期へ
伊藤忠を牽引するブランドを目指す

――伊藤忠商事は2022年4月に米アンダーアーマーの日本総代理店であるドームの株式の過半数を取得。同年7月にドーム創業者である安田秀一氏が退任し、北島義典社長がトップになりました。

 ドームは創業から25年以上がたち、一つの曲がり角に来ていると考えています。導入期から成長を迎え、成長期から成熟期を迎えました。これから衰退期に入るのではなく、もう一度、進化をして、成熟期から成長期に入っていく必要があります。

 伊藤忠グループはスポーツビジネスに力を入れていくと宣言しています。以前からデサントやコンバース、フィラやリーボックなどのブランドを手掛けてきましたが、それに加えて、昨年7月からアンダーアーマーも取り扱っています。ドームはアンダーアーマーを5つのブランドの中で、伊藤忠を引っ張っていくようなブランドにしたいと考えています。

 そのためにはまず、原点回帰で「チームビジネス」を強化していきます。ドームはこれまで、高校や大学のチームに出向き、対面で商品やブランドについて説明することで草の根的にアンダーアーマーというブランドを広めてきました。

 コロナで約3年間、この活動ができませんでしたが、今後は新たにチームを組織して、16~24歳のアスリートを対象にした啓蒙活動を実施します。

 同時に小売店に積極的に投資します。現在、アンダーアーマーの商品は全国約2400の小売店で扱ってもらっています。お客さんの目に留まるように売り場の雰囲気を出したり、機能を説明するポップを配置したりするなど、消化率が上がるような施策に資金を投じる計画です。

現在、国内にアンダーアーマーの店舗は33店舗だが、今後は国内店舗数を拡大していく方針だ。さらに、伊藤忠傘下で新たな商品開発も予定しているという。次のページでは、北島社長が、野心的な出店戦略を明かすほか、米アンダーアーマー創業者のケビン・プランク氏と伊藤忠の岡藤正広会長が対面した際のエピソードを明かす。