「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。
税務署が厳しくチェックすること
節税対策をしていると、怖いのが税務調査ですね。税務調査の調査先は、何らかの指標をもとにあたりをつけ、決算内容に問題がありそうな会社を狙い撃ちしているようです。
税務署としても、「ランダムに選んで調査に入った結果、不自然な点は何ひとつなかった」というのは避けたいのでしょう。
そこで本日は「税務調査で指摘されやすいポイント」についてお話しします。
納税額を減らすため、売上の一部を決算日以降に発生したように処理する企業があります。このような不正申告を許すまいと、税務調査では「売上の期ズレ」は徹底的にチェックされます。
正直な申告をすることは大前提として、売上を立てる時期の基準を明確に立てておくことが大切です。
「ここ」に要注意!
また、意図的ではなくても、売上の計上漏れは実務上よく発生しますので、念入りに確認してください。たとえば、締日が影響して把握が遅れる場合です。12 月決算の会社で、売上集計を20日締めで実施しているときに、12月21日~12月31日の売上が翌期で計上している場合があります。
他にはクレジット売上取引がある場合に、12月売上の入金日は翌期になるので、入金があったときに売上計上をしていると「売上計上のタイミングが違う」と調査官から指摘を受けます。
会計事務所の担当者が、締日や売上計上基準への理解が不足している場合もよくあります。情報がないと、会計事務所側も売上の期ズレの確認が難しい場合もありますので、締日情報や売上計上基準の共有は綿密に行うことをオススメします。
(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)