きっかけは転勤です。ポータルサイト「goo」の運営にかかわることになりましたが、周りの人とのインターネットに関する知識レベルに差があり過ぎ、私には知識や専門性が何もないと実感して焦りました。

そんな中、当時ブームだと言われて始めていたSNSとブログに着手しました。まだ誰も手をつけてなかったことで、専門性がない私でもチャンスがあると思ったからです。gooブログをはじめさまざまなブログのアカウントをつくっては使用し、感想をメモすることを繰り返して、多数のサービスを比較しました。ブログを始めたのは2004年で、SNSも同じタイミングでスタートさせました。

──最近メインで使用しているSNSは何ですか。

いま注力しているのはTwitterです。私は6時半に朝ランをしていて、「#起業家起きろ」というハッシュタグを勝手につくり、起業家向けに思いついたことをつぶやいています。

 ビジネスこそ個人アカウントで情報発信するのが効果的

上原氏
 

──企業も個人もSNSの使用が当たり前の時代にビジネス情報を発信する際のアドバイスをください。

最近は、企業用の匿名アカウントと個人アカウントの両方を運用する場合も多いですよね。仕事に関する自分の意見を個人アカウントで公開することが、はばかられる感覚もあるかもしれませんが、個人アカウントで発信した方が効果的だと思います。フォローしやすいのは、圧倒的に個人アカウントだと思うからです。

企業の方には、実名ではないけれども人物の特定ができるニックネームで活動することもおすすめしています。私の場合はブログで「近江商人」と名乗っており、上原仁のことをわかっていなくても、近江商人というハンドルネームだとはわかる状態です。

──個人アカウントでプライベートとビジネスの内容を発信していく場合、投稿内容のバランスに悩んでいる方も多そうです。

個人アカウントを使って反応を確認する投稿をしたり様子を見る期間を設けたりして、企業アカウントでできるレベルを探ってみるのがよいと思います。バランスをとった投稿をするには技術が必要なので、それを自分で判断できるようになるまで続ければ、最終的にはユーザーとの距離が近いマーケティングにつなげることも可能です。

ありのままの自分を発信して共感を呼ぶ

──上原さんのアカウントからは、自分の好きなスポーツチームを応援できて嬉しくて仕方がない! という熱い気持ちが伝わってきます。

最近、私のアカウントでは滋賀レイクスターズへの愛をひたすら語っていて、私が楽しんでいることそのものがレイクスの宣伝になっているように思います。ほとんどの人にとって、誰かが好きなものを語る様子は、そんなに嫌なものではないでしょうから、愛を叫ぶ系ツイートはありだと思います。自社のプロダクトを個人で発信することも宣伝になります。好きを発信するというスタンスが重要だと考えます。