すなわち、Web3とは「開発者とユーザーが所有するインターネットのことで、トークンを使って編成されるもの」で、ブロックチェーンを使って実現されます。

Web3の重要性は、2005年以降にWeb 2.0のアイデアを突き詰めていった結果、GAFAに代表される巨大なインターネット企業が生まれたこととの対比で浮かび上がります。そもそもインターネットは分散型のネットワークでさまざまなコンピュータがつながることで、無数のコンピュータがそれぞれの機能を提供することを想定して作られていました。

この仕組みは今も変わっていないのですが、プラットフォームとなった企業は(それが儲けにつながるため)ユーザーに最適な機能を提供しようとするあまり、個人情報を含むさまざまなデータを集めて集中化させるようになりました。結果、情報を一極集中させたサービスを提供する巨大インターネット企業の誕生につながっています。

巨大インターネット企業の何が問題かといえば、(1)プラットフォーム上でユーザーが保持するデータの扱いの不透明さ、(2)プライバシー情報の収集による過度な利用や情報漏えい、(3)プラットフォーム上で活躍するクリエイターへの還元の少なさ、(4)競合排除による市場イノベーションの欠如、といったような点でしょう。

ではなぜ、トークンによってこれらの問題が解決できるのでしょうか。

トークンを所有することでユーザーがデータを制御できる

クリス・ディクソン氏の言う「ユーザーが所有する」の意味には2つあると考えられます。

1つは、トークンそのもの、すなわち、ビットコイン(BTC)のような暗号資産や代替可能なトークン(ファンジブルトークン、FT)と非代替性トークン(ノンファンジブルトークン、NFT)をユーザーが所有することです。この両トークンの実装はブロックチェーンによって実現されます。

トークンはインターネット上の財産となるようなデータを表し、複製できるものではなく、われわれが実生活でやりとりするような、ほとんどのものを表現できます。たとえば、「お金」「メタバース上の土地」「ゲームで使うアイテム」「ブログのポスト内容」「映画や音楽や本などのコンテンツ」「契約書や許可証」などなど、ほかにも思いつくものはたくさんあります。

これまでのウェブでは、そのサービスで扱うデータは、たとえユーザーが投稿したものでもサービスを提供する企業によってどう扱うかを決定することは可能です。

一方、Web3のサービスでは、ユーザーのデータはブロックチェーン上に置かれるため、サービスで扱うデータはサービスから独立したものとなり、どのデータを使うかをユーザーが選択できるようになっています。