NFTは単に作品を販売するためだけのものではありません。クリエイターのファンによるコミュニティーのアクセスパスのようなものも提供できるなど、NFTの使い道は多様です。

今後はプラットフォームに縛られないクリエイター向けの新たなビジネスが、Web3の進化によって登場してくると考えられます。

課題3:
プラットフォーム上で活躍するクリエイターへの還元の少なさ
解決方法:
クリエイターはコンテンツやファンとのコミュニケーション手段としてNFTを直接ファンに販売できる

利用料も投票権も「トークン」に──サービスをユーザーが所有するということ

ここまではトークンそのものを所有することによるメリットを紹介してきましたが、クリス・ディクソン氏が説明する、もう1つの「所有」について紹介したいと思います。

Web3で提供されるサービスの多くは、そのサービスに関連した独自のトークンを発行しています。

この独自トークンは、そのサービスの利用料を支払うために使われたり、あるいはサービスの重要な決定についての投票権として利用されたりします。特に後者の機能を持つトークンを「ガバナンストークン」と呼びます。

例を上げると、暗号資産同士を交換する機能を提供するWeb3の代表的な「Uniswap」というサービスがあります。Uniswapは2020年9月にガバナンストークンの「UNI」を発行し、開発者や投資家などにUNIを配布しています。このとき、それまでUniswapを使ったことがあるユーザーにも1人あたり400UNIを配布しました(厳密には1アドレスごとの配布)。

UNIを使うとUniswapの運営に参加することができます。運営に対する議案に賛成や反対の投票をすることができますし、一定量のUNIを保有していれば議案を起案することもできます。つまり、ユーザーがガバナンストークンを保有することは、サービスの行方をユーザーが左右できるということです。

Uniswapのようなサービスでは、特定の誰か(例えばサービスを立ち上げた会社やその株主)の意思によってサービスの機能を意図的に変えられるようにするのではなく、ユーザーに配るなど幅広くガバナンストークンを広めようとしています。

また独自トークンは、Bitcoinブロックチェーンの通貨・ビットコイン(BTC)やEthereumブロックチェーンの通貨・イーサ(ETH)のように最終的には市場で取引されて値段がつくことが想定されています。このためUNIの配布は開発者や初期ユーザーに対するインセンティブにもなります。初期ユーザーへの配布時(2020年9月)は1UNIあたり4ドル、400UNIで1600ドルの価値がありました。1600ドルももらえるなら、それだけでもうれしいと思いますが、その後、価格は10ドル程度(2022年2月13日現在)まで上昇し、今では4000ドル相当の価値になっています。