遠くに見える塔。そこに何があるのか。無事にたどり着けるのか。行ってみなければ、何もわからない
遠くに見える塔。そこに何があるのか。無事にたどり着けるのか。行ってみなければ、何もわからない

『ELDEN RING』のうまいところは、コミック調なビジュアルの『ゼルダBotW』とは異なり、『DARK SOULS』シリーズにも通じるハイ・ファンタジー世界にするという差別化を行っているところ。ハイ・ファンタジーの代表作にはJ・R・R・トールキンの『指輪物語』やC・S・ルイスの『ナルニア国物語』などがある。ここでは日本での知名度が高い、三浦建太郎の漫画『ベルセルク』を例に説明してみよう。

『ベルセルク』のように魔物も存在する中世ヨーロッパ風の世界に、チープな短剣と盾を持たされて放り出された主人公。『ベルセルク』主人公・ガッツのような恵まれた体格はないが、プレーヤー自身が知識を得て、テクニックを学びながら生き延びるしかない。経験値やレベルアップという要素もあるが、2~3段階程度のレベルアップでは強くなったことを実感できないので、そこに期待はできない。

移動中、松明の火を見つけて道路脇にしゃがんで隠れる主人公。どうやら楽勝で勝てるゾンビのようなので、背後から急襲することに決めた
移動中、松明の火を見つけて道路脇にしゃがんで隠れる主人公。どうやら楽勝で勝てるゾンビのようなので、背後から急襲することに決めた

しかし、思い出してほしい。このゲームの難易度はかなり高いので、アクションゲームが得意な人ですら苦戦する。攻略サイトを確認し、攻略動画をで予習しても、自分で挑んでみたら何もできないまま蹂躙されるというのは、ほぼ全員が経験するだろう。

アクションゲームの腕前に自信がない人は強敵とは戦闘せず、馬にまたがって横を駆け抜けるという考え方もある。ストーリーとしては先に進めなくなるが、「普通の兵士の1人」として広大なフィールドを探索するという目的で遊んでも、軽く数十時間は遊べてしまうからだ。

このゲームには、さまざまな強さの敵が混在して登場する。ほとんど攻撃して来ないが松明を持っているために「触れたらダメージを受ける」程度の敵から、1対1で慎重に戦えば軽傷で倒せる相手。敵の一撃で瀕死にはなるが、攻撃を避け続ければどうにか倒せる敵。そして、行動パターンを完全に把握するまで倒せる気がしないようなボスまで多種多様だ。このうち「倒せそうもない敵」を回避して生きていくという選択肢も、このゲームでならあり得ると感じるほどに、この世界は魅力的だ。

馬はかなり序盤で手に入れられるが、未開の地を探索する際には馬で駆け抜けるのではなく「自分の足で歩いて、確認しながら先へ進みたい」と感じた。セーブポイントをはじめとする重要オブジェクトを見落とさないためでもあるが、筆者は『ELDEN RING』の世界を堪能したいという気持ちの方が強かった。非戦闘時の「ファーン…」という、静かで雄大な世界を感じさせるBGMに耳を傾けたいという欲求すら生まれたほどである。