主軸事業であるサブスクサービスの特徴は「豊富な商品ラインナップ」だ。

もともと2018年3月にベータ版をローンチした当初は自社で製造した家具を中心に扱っていたが、ユーザーが伸び悩んだことから方向性を転換。既存の家具ブランドとタッグを組むかたちに変え、2018年9月に現在の名称で正式にサービスを始めた。

大きかったのが、当時から新品の家具のみを扱い、返却された家具は二次流通業者に販売する方針で事業を展開してきたこと。このやり方であれば同じ家具を何度も使ってもらうことで利益を積み上げるモデルとは異なるため、既存の家具ブランドと対立しにくい。結果的にメーカーとの取り組みが加速し、今では連携するブランドが600まで増加。サブスクライフの大きな強みになっている。

ソーシャルインテリア代表取締役の町野健氏
ソーシャルインテリア代表取締役の町野健氏

ユーザーの視点では「使い続けても商品価格(定価)を超えない」点がレンタルとは異なるポイントだ。ユーザーは使用期間満了後に「継続」「購入」「返却」の3つの選択肢から好きなものを選ぶが、継続する場合でも商品価格に達すればそれ以上は課金されないため、長期間にわたって使いやすい。

また2021年に始めたサブスクライフ オフプライスを通じて、サブスク事業で返却された家具やメーカーが保有する有休在庫を販売できるマーケットプレイスを構築。家具を保有するメーカーや法人にとっては本来廃棄していた家具を“それを必要とする誰か”へと売却でき、購入するユーザー側も通常より安価に欲しい家具を手に入れられるようになった。

法人向けのサブスクが拡大、SDGs/ESG対応の目的で導入する企業も増加

これらのサービスの中でも、特に近年ソーシャルインテリアのビジネスを牽引してきたのが法人向けのサブスク事業だ。

新型コロナウイルスの影響に伴い先行きが不透明な状況に陥る企業も増えた中で、リスクマネジメントやキャッシュフローを改善する目的で家具のサブスクに関心を持つ企業が増えた。

代表取締役の町野健氏によると直近では「オフィスは不要か、必要か」といった極論の議論は減ってきているが、その分"ハイブリッドな出社方針”を打ち出す企業が増え、オフィス環境最適化の需要と自宅環境充実化の需要の双方にアクセスできるようになったという。

さらに大手企業を中心にSDGsやESG対応を強化する動きが加速しており、その観点から家具のサブスクを導入する事例も増え始めているそうだ。

企業側の新たなニーズをうまく取り込むことで事業も成長し、2022年2月時点のGMV(流通総額)は昨対比で4倍、全体の売上も3倍に拡大。割合としては法人の部分が大きく、約7割を占める。