アプリでの掲載が一般化すると同時に、ウェブトゥーンの英語への翻訳も始まり、欧米へのコンテンツの進出も進んでいる。また、中国や台湾、インドや東南アジア圏でもウェブトゥーンの人気は上昇。日本でもウェブマンガアプリの普及に伴い、徐々に浸透が進んでおり、IT系のメガベンチャーや出版社などによる事業展開や投資が2021年以降、盛んに行われている。

日本でもウェブトゥーン“国産化”への機運が高まる

日本でウェブトゥーンを掲載する主なプラットフォームには、2013年ローンチの「LINEマンガ」「comico」や、2016年公開の「ピッコマ」などがある。いずれも韓国IT大手が立ち上げに関わっており、LINEマンガを運営するのはネイバーグループのWEBTOON Entertainmentの子会社であるLINE Digital Frontier。comicoはNHN Entertainmentの日本法人NHN JAPAN傘下のNHN comicoが運営する。ピッコマの運営はカカオの日本法人・カカオピッコマが行っている。

ピッコマは後発ながら、2021年におけるApp Store(ブックカテゴリ)とGoogle Play(コミックカテゴリ)の合計売り上げが日本でも世界でも1位を記録。累計ダウンロード数は3000万件を突破した。先行するネイバーのLINEマンガ(ワールドワイドでは「WEBTOON」の名でアプリを展開)は、グローバル全体ではカカオのピッコマにいったん追い越されたかたちだが、2022年上半期には欧州・フランスに拠点を設立。米・韓・日・欧の主要市場で事業を展開して、巻き返しを図る構えだ。対するカカオもピッコマの欧州進出を企てている。

これまでウェブトゥーン作品のほとんどが韓国で制作され、日本においては翻訳・アレンジしたものがアプリなどに掲載されてきた。だがここへ来て、国内の企業からも投資が進んでおり、現在は“国産ウェブトゥーン”展開への動きが活発化している。

2021年にはソラジマやLOCKER ROOM、taskeyといった、スタートアップをはじめとする企業により、ウェブトゥーン専業の制作スタジオが相次いで設立。また、小学館や集英社などの大手出版社や、アカツキ、and factory、コルクのようにIPビジネスやマンガアプリ制作を手がける企業による、ウェブトゥーン制作スタジオへの出資も盛んになった。

アカツキはまた、ウェブトゥーンアプリ「HykeComic(ハイクコミック)」を2022年春に国内先行リリースすると発表している。出版社ではKADOKAWAが2021年8月に「タテスクコミック」レーベルを始動し、自社の人気タイトルをウェブトゥーン型にリニューアルして配信するほか、オリジナル作品の開拓にも取り組む。クリエイター寄りのプラットフォームとしては、ピクシブがLOCKER ROOMとの共同制作プロジェクトを3月28日に開始している。