市場規模予測は7年で7倍の3兆円、収益アップを分業化で図る

調査会社のQYResearchは、世界のウェブトゥーン市場が2022年から2028年の間に30.99%のCAGR(年平均成長率)で伸長すると見積もる。市場規模は2021年の36億7347万ドル(約4400億円)に対し、2028年には262億1359万ドル(約3兆1500億円)に達すると予測している(『Global Webtoons Market Size, Status and Forecast 2022-2028』より)。

ウェブトゥーンプラットフォームの収益モデルはさまざまだが、多くは「冒頭から数話など、限定話数を無料で公開し、それ以外は課金する」、あるいは「1日に1話〜数話を無料で公開し、それを超えた分について課金する」といった形式が採用されている。

ウェブトゥーンを制作するスタジオは、アプリなどのプラットフォームが得た売り上げから、印税のように一定の料率を得る。事業者との契約にもよるが、その料率は25%〜40%ほど。ピッコマで公開された『俺だけレベルアップな件』が2020年5月に月間販売額2億円を突破した例もあり、「作品がヒットすれば月額数千万円規模を稼ぐことが可能」とあって、この領域はクリエイターからも注目され始めている。

ウェブトゥーンの制作は作家個人でも可能ではあるが、売れる(読まれる)作品を定期的に数多く配信するために、原作、シナリオ(ネーム)、キャラクターデザイン、作画、着彩、仕上げなどの作業を、編集者(ディレクター)の指揮の下、分業で行うスタジオが多い。この点、従来の漫画家の制作スタイルよりは、ゲームやアニメーション作品の制作体制に近いと言える。

紙のコミックがウェブに掲載されるのとは逆に、人気ウェブトゥーンをコマ割により紙の本のレイアウトに最適化して書籍化するパターンも現れている。冒頭で触れたNetflix作品のほかにも、LINEマンガの『女神降臨』が韓国でドラマ化されるなど、IP(著作物)を別の形態で展開することも増えており、収益を得る手段はオリジナルのウェブトゥーン作品の配信にとどまらず、広がっている。