Nrealは「Nebula」というARのための環境も用意している。このアプリを対応するAndroidスマートフォンに入れてNreal Airを接続すると、ウェブやアプリを「空間に配置」して楽しめる。

ただ、Nreal Airが発売される以前の2020年から、同社は「NrealLight」という製品を発売している。デザインは似ているが、Lightは6DofセンサーとSLAMカメラを搭載していて、手の認識や自分の位置の認識(いわゆる6DoF、前後左右に動けて向いている方向も認識する自由度)に対応している。

一方でAirはよりコンシューマー向け製品に最適化されており、カメラセンサーは搭載されていない。認識できるのは自分の向いている方向(いわゆる3DoF)だけだ。では、なぜNrealLightの次にAirを開発したのだろうか。Yeo氏は次のように説明する。

「NrealLightを出してわかったことがあります。ARグラスを求めている人は多いのですが、全ての人がハイエンドなものを求めているわけではない。簡単で、軽く、薄いものを求めている人もいます。市場調査をすると、80%の人がARグラスで映像を見たい、と考えていました。一方、6DoFなどの機能を使う人はそこまで多くはない。もっと軽くして、日常生活に使えるようにする必要がありました」

「また値段的にも、Lightは高い(auオンラインショップでの販売価格は6万9799 円)。一般の方がもっと手軽に買えるように、Airは価格を下げています。とはいえ、AirはLightの後継機種というわけではなく、LightがB2Bなど、より機能を求める用途向けに併存する、という形です。市場にはたくさんのARグラスがありますが、どれも多機能で高価です。誰もが100%全ての機能を使うわけでもない。Lightでは、企業にも開発者にもARを使えるように、98%の人が満足できる機能を入れています。しかし一般の方はAirを使うのがファーストステップとしてもいいでしょう」(Yeo氏)

Nreal VP兼日本nreal株式会社の代表Joshua Yeo(呂正民)氏 画像提供:Nreal
Nreal VP兼日本nrealの代表Joshua Yeo(呂正民)氏 画像提供:Nreal

Nreal Airの発売と同時に、「Streaming Box」という周辺機器も用意された。理由は「利用者を増やすため」(Yeo氏)だ。

「Nreal Airを直接接続して使えるスマートフォンは、一部のAndroidスマホに限られます。Androidスマホ以外の多くの製品、特にiPhoneとつなげ、映像を楽しんでもらうために開発しました。スマートフォンから映像をミラーリングして、Nreal Airに接続できます。ただ、中国がコロナ禍でロックダウンしている影響を受けており、物流が鈍化しています。早くお届けしたいとは思っているのですが」(Yeo氏)