2014年に「消滅可能性自治体」という言葉を初めて公表した日本創成会議で座長を務めたのが、元総務相で現日本郵政社長の増田寛也氏だ。増田氏は今回の人口戦略会議でも副議長として主導的な役割を果たした。特集『人も財政も消える街』(全6回)の最終回では、消滅可能性自治体の言葉の生みの親ともいえる増田氏に、人口減少にどのような「処方箋」が有効か聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
自然減を他の自治体からの流入で補う
都市部の自治体の分析が第一の狙い
――10年前の日本創成会議に続いて、人口戦略会議においても消滅可能性自治体(2020年から50年までの間で20代と30代の若年女性人口が半減する自治体)という形で人口減少に警鐘を鳴らした狙いは。
昨年12月に発表された20年の国勢調査を基にした国立社会保障・人口問題研究所(以下、社人研)の人口推計を見れば、自分の自治体が消滅可能性自治体かどうかは分かります。
今回は、社人研の封鎖人口(編集部注:転入、転出がないと仮定し、死亡と出生による自然増減のみを前提とした人口推計)というデータを活用して都市部の分析をすることが第一の狙いでした。
ブラックホール型自治体(注:消滅可能性自治体ではないが、封鎖人口ベースで20年から50年までの間で20代と30代の若年女性人口が半減する自治体、東京23区の多くの自治体が該当)という判定をして、可視化しました。
(転入、転出を想定した)社会減、自然減共に小さくなり、場合によって増加している自治体もあります。こうした自立持続可能性を持っている自治体を自立持続可能性自治体(注:通常の人口推計でも封鎖人口の推計でも若年女性人口の減少率が20%未満の自治体)として分類し、性格付けをすることも目的でした。
――消滅可能性自治体を初めて判定した日本創成会議のときとは狙いが変化したのですね。
日本創成会議のときは、10年の国勢調査のデータを基に分析しました。10年の国勢調査で初めて日本の人口は減少に転じました。そのデータで人口減少ということをつまびらかにすることが狙いでした。
人口の自然減に着目した都市部の分析が、今回の人口戦略会議の狙いとした増田氏。次ページでは、都市部に着目した理由、人口減を緩やかにする施策について聞いた。