実はNreal Air自体、日本以外の国へはまだ発売されていない。日本で先行して発売されたのには、もちろん理由がある。

「日本にはVRやARの開発者が多く、実力も世界的に先端です。Airを先行して発売することで、高いレベルのユースケースとアプリケーションを開発していただけるものと考えています。ですから、まず日本で発売し、その後に世界へ……ということになったのです」(Yeo氏)

6DoFには課題も──Nreal Airで示す「一般向けARアプリ」

MESONはNrealLightとNreal Airの両方にアプリケーションを作ってきた。NrealのARグラスと対応Androidスマートフォン、そしてNrealが提供するAR動作環境のNebulaを組み合わせ、今回、Nreal Airの発売に合わせて、NTTドコモに企画・開発協力する形で2つの製品デモ体験用ARアプリを発表している。1つは地域観光向けアプリ「ARガイド」、もう1つはリモートワーク向けアプリ「ARルーム」だ。これらは全国のドコモショップ約100店舗にあるNreal Airの体験ブースで試せる。

MESON COOの小林氏は、2つのモデルが用意されたことについて次のように話す。

「弊社はARアプリについて、『未来にはこういうものが広がる』ということを想像してもらえるものを開発しています。NrealLight向けには『3年から5年先にこういう未来が来る』というイメージを描けるものを作ってきました。それに対し、Nreal Air向けのアプリは『今すぐにでも使えるもの』を目指しています。2つのポートフォリオがあるのは、弊社にとってもありがたい戦略です」(小林氏)

では、Nreal Airではどんな体験を目指すのだろうか? やはりそこは、ハードウエアの特性にあったものがいい、と考えているようだ。

「Nreal Air向けには、“ユーザーが動かない”体験がメインになると思います。Nreal Airは、ユーザーから見た時、ARを体験するためのハードルが低いのが利点です。さっとかけて、すぐ視聴できる。ARのためにアプリを作るのでなく、すでに市場にあるもの、例えば動画などを活用したアプリがキラーコンテンツになりそうです。例えば、球場で試合を見ている最中にかけると、目の前にスコアなどの情報が出るようなものです」(小林氏)

そこには、これまでNrealLightでいろいろなアプリを開発してきて得られた体験から学んだものもあるようだ。