また30人近い経営者や専門家らのメンター陣も投資先を支援するという。メンターの中には、ウェルスナビやスペースマーケットなど、同ファンドに支援を受けてイグジットした起業家も含まれている。千葉道場ファンドはこれまで75社以上に出資しているが、コミュニティへの参加は出資先起業家に限定している。

 

また、同ファンドは「号またぎ」での投資が行えるのが特徴だ。通常、同じVCが組成するファンドでも、1号、2号と組成する度にLPにも変更が加わるため、利益相反の観点からも号またぎの投資は行わないのが一般的だ。最近ではあらかじめ、大きな規模のファンドを組成したり、追加投資専用のファンドを作ったりすることで追加投資に対応することがほとんど。だが千葉道場ファンドではLP間での調整を行うことで、号またぎでの投資を実現したという。

千葉道場ファンドは今回ファンドの組成以降、LPに関してもある程度固定化し、そこに同コミュニティ出身で新規上場した起業家らがLPとして加わることで、LPも含めたコミュニティ化と、数十億円規模のファンドの連続組成をもくろんでいる。小さめのファンドサイズであることによって、成功した起業家がLPとして参加することも比較的容易だというところもねらいの1つだ(通常のVCファンドは私募のため、LPを49人までしか集められない。大型化するほどにチケットサイズ、つまりLP1人あたりの出資金額が大きくなる)。

「最近では大型化を進めているVCファンドは多くあります。ですが我々はそれに逆行して50億から60億円の規模でしかファンドを組成しません。ですが投資組入れ期間の1年半から2年程度で、また新しいファンドを組成しようと考えています」(千葉氏)

すでに3号ファンドではDIAMOND SIGNALでも紹介したフィットネス向けハードウェアを展開するミラーフィットやサービスEC向けサイト作成サービスのMOSHのほか、店舗向けMEO(Googleマップ最適化)サービス提供のmovへの投資を実施。また、号またぎ投資の1号案件として、シンガポールに拠点を置く教育スタートアップのManabie International Private Limitedへの出資も実施した。

クローズドで濃度の濃いコミュニティ、ともすれば時代に逆行するような小規模なファンドの連続立ち上げを標ぼうする千葉道場ファンド。その狙いを千葉氏はこう語る。