人によっては、色だけでなく甘酸っぱい味、あるいはシャリッとした食感を思い浮かべるかもしれない。「りんごの意味はAppleです」とは言わないだろう。つまり、意味とは映像・イメージのこと。Appleやりんごという文字情報(スペル)ではない。

スペルは優先度の低い情報、覚えるべきは「イメージと音」

従来の単語学習は「文字情報」を中心としたものだった。

例えば「apple」という英単語を覚えたいとき、まずは「A-P-P-L-E」というスペル(綴り)を頭の中に思い浮かべる。そしてそれに対応するものとしてAppleの日本語訳である「りんご」を結びつける。「Apple、りんご」「Apple、りんご」と繰り返し唱えたり、とにかくノートに文字をたくさん書いて覚えたという人もいるかもしれない。

だが、この英単語の覚え方は非常に効率が悪く、実践的ではなかった。想像してみてほしい。ネイティブスピーカーと英語と英語で会話をしている場面において、「スペルと日本語訳」は情報としてどのくらい重要だろうか。

会話において優先度が高いのは、相手と自分の頭に浮かんでいるイメージと、そのイメージを適切な音(発音)で伝え、理解できること。日本語訳は、あくまでもイメージを作る上でのヒントのような、言わば「補助輪」のような存在なのだ。

 

「とっさに英語が出てこない」は当然の悩みだった

「とっさに英語が出てこない」──英語学習者の多くが抱く、この悩みも「スペル=日本語訳」を結びつけた学習の繰り返しが原因だった。

「Apple、りんご」「Apple、りんご」のような「英単語→日本語訳」の訓練を重ねると、英語を見たり聞いたりしたときに「意味」よりも先に「日本語訳」が浮かぶようになる。一度、日本語を介さないと英語を理解できない仕組みをつくってしまうのだ。そのため、パッと英語が出てこない。

とっさに英語が出てくるようにするには「意味(イメージ)」を見たら、すぐにそれを言葉として声に出せるトレーニングを反復して行うことが大切だ。また、その逆も然りで英語の音を聞いたら、イメージが浮かぶようなトレーニングも必要となる。つまり「意味(イメージ)=音」の結びつけを強くするような訓練だ。

これをアプリで簡単に実現できるようにしよう、という思いのもと開発したのが「意味と音」である。このアプリでトレーニングを続ければ、日本語を介在させることなくダイレクトに英語が使えるようになると考えている。

 

TOEIC満点レベルの1万2000語すべての画像を手作業で選定

そんなアプリ開発の過程で最も苦労したのが、イメージ(画像)の収集・選定作業だ。