月売上1000万円突破の事業者も登場
SNSやシェア買いボタンなどを活用したユーザーがユーザーを呼ぶ設計により、月に1000万円以上を売り上げる事業者も出てきた。例えば、九州の食材を販売する熊本県の企業・ローカルは2月、果物のみかんだけで月に1000万円以上をカウシェで売り上げた。
正確な理由は定かではないが、カウシェでは1月末より在日ベトナム人ユーザーが急増しており、現在6万人ほどの在日ベトナム人が利用しているという。ローカルが販売するみかんは在日ベトナム人のコミュニティで話題となり、注文が殺到した。ローカル以外にも、食品や家電を販売する複数の事業者が、月に1000万円以上をカウシェで売り上げているという。
カウシェのビジネスモデルは、販売事業者から販売手数料の10%を得るというものだ。事業者にとって、大型のECモールへの出店や自社ECでの商品販売に加えて、カウシェへも販路を拡大するメリットはどこにあるのか。
門奈氏は「事業者はまとまった量の商品を販売でき、ユーザーが他のユーザーを連れてくるため、広告を出さずとも新たなユーザー層を開拓できることから、カウシェに出店しています」と説明する。
ユーザーと出店事業者をつなぐ「ソーシャル機能」を実装へ
カウシェは6月28日、さらなる事業成長に向けた約22億円の資金調達実施を明かした。今回のラウンドは同社にとってシリーズBにあたり、累計調達額は約32億円となった。引受先は以下のベンチャーキャピタル(VC)だ。
新規投資家
- Bonds Investment Group
- SIG Asia Investment
- 三井住友海上キャピタル
- Sony Innovation Fund
- 電通ベンチャーズ
既存投資家
- ANRI
- グローバル・ブレイン
- 千葉道場ファンド
- デライト・ベンチャーズ
- SBIインベストメント
今後、カウシェでは調達した資金をもとに、2025年度までに1000億円のGMVを目指し、採用を強化していく。特にエンジニア採用に力を入れ、プロダクト開発に注力していく方針だ。
具体的には、商品のレコメンデーション機能や、ユーザー同士、またはユーザーと出店事業者の交流を実現するソーシャル機能を実装していくという。
門奈氏は「カウシェが提供する“楽しさ”が鍵となるショッピング体験の実現は、まだ日本では大きく成功している企業がいない領域です。我々はスタートアップだからこその創造性を発揮し、失敗を恐れずに挑戦していきます」と話していた。
eBay Japanが運営し、低価格商品を豊富に取り揃えるECモール「Qoo10」の年間流通総額は毎年、約20〜40%ほど拡大しており、他の大手ECモールと比較してもトップクラスの成長率を誇っている。また、米国発のファッションEC「SHEIN」も低価格商品で人気を集め、時価総額は1000億ドル(約13兆4987億円)を超えたとされている。物価が上昇し、生活者の財布のひもが締まる中、格安商品を揃えるECの存在感が増している。