画像提供 : New Commerce Ventures
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松山氏は日本と海外の違いの1つに「スタートアップと大企業をつなぐエコシステムの存在」をあげる。そこで重要な役割をしているのが領域特化型のVCだ。

たとえば米国のCommerce Venturesはコマースやリテール領域のスタートアップに投資をしつつ、大手小売企業やブランドとつなぐことでPoC(概念実証)や協業を推進している。こうした取り組みがうまく回っていることもあり「日本ではECの売上のシェアを見るとIT企業が上位に入ってくるが、海外ではリアルな店舗を持っているブランドがECでも高いシェアを誇っている状況」(松山氏)だという。

日本でもSaaSやWeb3、エンタメ、ドローンなど特定の領域に特化するとうたうファンドは出てきているものの、松山氏によるとコマースに特化したプレーヤーはまだ存在していない。

「業界自体を盛り上げていきたいのであれば、日本においても事業会社とスタートアップを結びつけていくことが必要だと考えました。そのためには独立をして、この領域に特化してやっていくのが一番良いのではないか。それが(独立の)決め手になりました」(松山氏)

New Commerce Venturesでは今後「VC」「コミュニティ」「コワーキング」「売上連動型融資」という4つの機能を提供していく方針だ。

VCに関しては1号ファンドとなるNew Commerce Explosion投資事業有限責任組合を組成し、ギフティや大広、いつもなどECに関連する事業会社を始めとした企業や個人から5億円を調達。2023年を目処に最大で20億円規模を目指す。

松山氏は前職時代にアクセラレータープログラムCode Republicの共同代表として、さまざまなシード期のスタートアップを支援してきた。一方の大久保氏は前職時代からコマース領域の企業への投資に力を入れており、海外のトレンドにも明るい。

投資領域は「ブランド」「マーケットプレイス」「イネーブラー」の3つ。すでに事業を展開している起業家だけでなく、事業立ち上げ前の起業家に対して「今後日本でも大きなビジネスチャンスが見込める事業アイデア」を提案しながら、一緒に事業を育てていくような挑戦にも取り組みたいという。

画像提供 : New Commerce Ventures
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さらにコマース領域においてデジタルギフトのギフティやEC支援のいつもなど専門的なノウハウを持つ企業とタッグを組み、勉強会や支援プログラムを実施するほか、スタートアップと事業会社を繋ぐイベントやPoC・協業の機会を設けていく計画。倉庫や撮影スタジオなどを備えたEC事業者向けのコワーキングスペースや、売上連動型融資(レベニュー・ベースド・ファイナンス)などもパートナーとの協業によって2023年から提供する予定だ。