「SaaS管理」のサービスは日本でも複数のスタートアップに加えてマネーフォワード、メタップスなどがサービスを展開しているが、ITデバイスの購入管理やアウトソーシングまで網羅しているのがジョーシスの特徴と言えるだろう。

実際に、顧客が導入を検討する際に他社のSaaS管理ツールと比較されることもあるが「SaaS管理だけでなく、デバイスの管理や購入、廃棄など『リアルなオペレーションも含めた(情シス担当者の)干渉度合いを減らせないと大変なままですよね』という考え方に共感して活用いただけることが多いです」(ジョーシスCPOの横手絢一氏)。

ジョーシスでは「誰が、どのSaaSやデバイスを使っているのか」を簡単に把握できる
ジョーシスでは「誰が、どのSaaSやデバイスを使っているのか」を見える化する

横手氏によると、2021年9月の正式ローンチ以降は想定以上に問い合わせが多く「すぐにコンセプトがマーケットにフィットしている手応えをつかめた」という。この1年はプロダクトの機能面と事業体制を強化しながら事業を広げてきた。

あくまでローンチ初年度の数字にはなるものの、MRR(月次収益)は9カ月前と比較して29倍に増加。契約顧客の満足度を測るエリアテストでも50%の顧客が「ジョーシスを使えなくなると、とても残念」と回答しており、顧客単価や契約率(問い合わせから契約に至った顧客の割合)などの状況も踏まえて「第一段階のPMFには到達できた手応えがある」と話す。

現在は従業員数8人のSMBから1000人以上の大企業までさまざまな企業で導入が進むが、特に100人を超えたあたりから「担当者の負担が大きくなり、課題に直面しやすい」とのこと。実際に従業員数200〜500人程度の企業を中心に利用が進んでいるそうだ。

またSaaS管理だけに特化していないという特性もあり、アパレル事業者や酒屋、花屋などIT企業に限らず幅広い業界のユーザーが存在するという。

2023年内に英語圏で展開へ、年初にもシンガポールでサービス提供

日本で事業が拡大する中で、今後は海外展開に向けた投資にも力をいれる。

ジョーシスは当初からテクノロジー開発を担うインド拠点と事業開発を担う日本拠点とのグローバルチームでサービスを運営してきた。調達した資金を活用して開発面とビジネス面双方の体制を拡充していく計画。2023年初頭にはシンガポールから海外展開を始める予定で、それに向けた準備も進める。

「コロナ禍におけるハイブリッドワークへの対応やSaaSの増加、デバイス管理にあたってのコンプライアンスやセキュリティ対策など、情報システム部門に求められる業務の幅が異様に変化してきていると感じています。(日々の業務に追われていて)業務自体のアップデートがあまりできていないのに、守備範囲だけが広がってしまっている状況です」(横手氏)