ファッションはもちろん、アイコンやフォントに至るまで、熱狂的なファンが多い
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斬新さはないが、完成度を高めた最新作『スプラトゥーン3』

ここまでスプラトゥーンがいかにFPS/TPSの弱点を克服してきたかということを説明してきた。しかし、それでも対人対戦がメインである以上、どうしても勝ち負けは生じてしまう。そんなスプラトゥーンは『2』から新モード「サーモンラン」を追加したのである。これは2~4人で遊ぶモードだが、対人対戦ではない。協力して共通の敵と戦う、いわゆるPvE(Player vs. Enemy。プレーヤーと敵コンピューターとの対戦)だ。これならば敗北しても悔しさは最小限に抑えられる。

さらに、有料DLC「オクト・エキスパンション」では1人専用モードも追加した。PvEモードですら負けて「仲間に申し訳ない」と悲しんでしまう人は、このモードを楽しみながら、技術を磨けばいい。

ただスプラトゥーンは初代の完成度があまりにも高かったため、『2』そして『3』は対戦バランスの調整などで完成度を高めているほかは、モードを増やすなどして「楽しめる客層を広げる」方向のバージョンアップとなっている。それでも新作が出ればファンは新作に飛びつくのは必然だ。新作は多くのユーザーをオンライン対戦へと誘うからだ。それこそ、超上級者から、『3』から入門するような初心者まで、多種多様な属性を持ったプレーヤーたちが集うとなれば、過去作をプレイし続ける意味はほとんどない。

ちなみに『3』でも「ヒーローモード」という、1人専用モードは健在だ。こちらのモードは丁寧なチュートリアルも兼ねているため、初めてスプラトゥーンに触れたユーザーや、対人対戦に抵抗がある人に勧めたい。ヒーローモードには幾つものミッションが用意されており、このモードだけでもクリアまで何時間かかるかわからないくらいのボリューム感。それに、このモードをクリアしたころには、すっかりスプラトゥーン初心者を卒業しているに違いない。

余談だが、スプラトゥーンというタイトルの語源は、「ピシャ」「パシャ」という効果音を意味するSplatと、「小隊」のPlatoonを合わせた造語だという。個人的には「トゥーン」という響きが「マンガ」を意味するcartoonも連想させると感じている。

ここまで記事を読まれた方の中で、まだスプラトゥーンをプレイしたことがないという方がいたら、ぜひ知人宅へ行ってでも触れてみてほしい。記事では「FPS/TPSの魅力が~」などと説明しているが、シンプルに「自分の手でインクをぶちまけ、汚す」というアクションは、言語化しづらい快感がある。こうした心理的な快感を取り入れることは、ソフトウェアのUIなどに導入されてもいいと思えるほどだ。