LINE上のサービスの画面イメージ
 

主なユーザーは倦怠感や疲労感、むくみ、冷え性といった不定愁訴を抱える女性で、全体の9割以上を占める。5月にはLINE公式アカウントの登録者数が20万人を突破した。

「体調不良を抱えていて日々検索エンジンなどで情報を探しているものの、正確ではないものも多い。YOJOにおいてはいつでも気軽に薬剤師に相談できるという安心感が価値を感じてもらえているポイントで、その信頼関係があるからこそ、漢方を始めとするいろいろなものを購入いただけています」(PharmaX代表取締役の辻裕介氏)。

シンプルなLINEアプリに見えるが、PharmaXでは薬剤師が使うCRMツール(顧客管理ツール)を自社で開発。限られた人員でも効率よくユーザーのフォローができるシステムを用意しているほか、パーソナライズエンジンや自動問診の仕組みなど、ITを活用した提案の質の向上やオペレーションの効率化にも取り組む。

また四谷の店舗に出勤する薬剤師と、リモート勤務する薬剤師の分業体制を導入している点も特徴の1つ。リモート薬剤師がチャットの下書き部分を作成し、店舗の薬剤師がその内容を確認した上でユーザーに返答する独自の体制を整えた。

このようにオンライン薬局を展開する上で培ってきたオペレーションシステム(薬局OS)がPharmaXの強みだ。2021年2月には保険薬局の指定を受け、オンライン服薬指導による処方薬領域にも参入した。

同社のサービスでは医療機関に受診後スマホで薬剤師と服薬指導を実施し、都内の一部エリアであれば最短で当日に自宅まで薬が届く。従来のサービスと同様、LINEで気軽に薬剤師に相談もできる。

薬局からのオンライン服薬指導のイメージ
薬局からのオンライン服薬指導のイメージ

「私たちはソフトウェアの開発だけでなく、四谷に自社の薬局を構え、実際に薬剤師も雇用しながらオペレーションを含めた全体のプロダクトを設計し、医療体験そのものを変えていくようなアプローチで事業に取り組んできました。まずは自社薬局で(裏側のオペレーションも含めた)基盤を構築し、将来的には『イネーブラー』として自分たちが培ってきた仕組みをパートナー企業にも提供していきたいと考えています」(辻氏)

PharmaXではさらなる事業拡大に向けてKDDI Open Innovation Fund 3号、ANRI、グロービス・キャピタル・パートナーズから約5億円の資金調達を実施した。KDDIとは健康管理アプリの「auウェルネス」と薬局OSの連携など、業務提携も検討していくという。