ソーシャルメディアを就職活動に活用する

本田直之(ほんだ・なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長兼CEO シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQへの上場に導く。現在は、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフを送っている。著書に、ベストセラーになったレバレッジシリーズをはじめ、『ノマドライフ』(朝日新聞出版)、25万部を超えるベストセラーとなった『面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則』『ゆるい生き方』『7つの制約にしばられない生き方』(以上、大和書房)『ハワイが教えてくれたこと。』(イースト・プレス)などがある。著書は累計200万部を突破し、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。

キム 安藤さんはどうですか。

安藤 就職ですか。私が就職活動をしたのは2002年、2003年、足掛け3年、3回やっているんです(笑)。

本田 就職活動のプロですね。

安藤 落ちまくったプロでもあるんですが(笑)。

 最初の2002年はまだ「就職氷河期」と言われていた時代です。私自身は、先に述べたオランダへの留学が決まったので途中でやめたんですが、ゼミ生や同じ学部の仲の良い友人たちが、夏を目前にしてもなかなか就職先が決まらない様子を横目で見ながら「大変なことになったな」と痛感していました。慶応の男子学生と言えば、それなりに就職は安泰だと思っていましたから、正社員での就職が決まらず、やむを得ず資格試験の勉強に切り替えたり、派遣社員になる道を選んだ人がいたことには、本当に驚きました。

 約1年間のオランダ留学を終えて、そうはいっても自分に過大評価をしていた私は、それなりに自分はいけるんじゃないかなと勘違いを起こしていました。そして、秋採用は全滅。代理店も商社も全滅。翌年に就職浪人をして、3回目の就職活動に挑んだんです。80社エントリーして、ここでもまた落ち続けて、ようやく2社から内定をいただきました。
 パソコンはバックパックを背負って旅する現地のインターネットカフェか、大学のコンピュータ室でしかいじったことがなかったですし、将来を見越してインターンの経験を積むような計画性はありませんでしたので、就職活動の情報収集は、就職課と例えば「みんなの就職活動」などのネット掲示板、就職イベント、友達からの口コミだけでした。

ジョン・キム(John Kim)
作家。元慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授。韓国生まれ。日本に国費留学。米インディアナ大学博士課程単位取得退学。中央大学博士号取得 (総合政策博士)。ドイツ連邦防衛大学博士研究員、英オックスフォード大学客員上席研究員、米ハーバード大学インターネット社会研究所客員研究員、慶應義 塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構特任助教授等を歴任。アジア、アメリカ、ヨーロッパ等、3大陸5カ国を渡り歩いた経験から生まれた独自の 哲学と生き方論が支持を集める。著書に『媚びない人生』(ダイヤモンド社)、『真夜中の幸福論』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、訳書『ぶれない生 き方』(スティーブ・ピーターズ著 三笠書房)がある。

 当然のようにみんな、大手企業ばかり受けているような状況で、私もそれに続いてメーカー、芸能プロダクション、映画、商社などの様々な業界をNo.1、2企業から全部受けるみたいな節操のない就職活動をやっていて(苦笑)。結果的に集英社に就職できたことは今の自分にとても生かされているとはいえ、もう少し自分の頭で考え、目で見て、本当にいいと思った企業を受けていればと思います。

 そんな私からアドバイスできることはあまりないのですが、ひとつだけ「情報戦」についてのアドバイスを。
私と違って今のみなさんは、ツイッターもフェイスブックもブログもある。もし私が10年前に戻って、もう一度、就職活動するのであれば、フェイスブックで企業を検索して、直接メッセージを送って自分を売り込んだり、会ってもらったりします。要するに、エントリーシートを送って、筆記試験や面接をこなして……という「正攻法」以外にも、その企業の社員や採用担当者と直接コンタクトを取る手段があるわけですから、使わない手はないと思います。あとは、接触回数を増やします。
OB、OG訪問をするにしても、こうした希望する企業の社員や採用担当者と会うにしても、たった1回の面会で済ませるのではなくて、最低でも
2、3回会ってもらう。なぜかというと、大人はたった1回で会うだけでは本当に大事な情報を打ち明けてはくれないからです。
 例えば、「給料はいくらですか」なんて初対面で聞けるわけもないし、自分の懐事情をいきなり打ち明けてくれる相手も珍しいものです。
他のどこを受けるのか、相手の人も若干警戒して、会社の実態をなかなかしゃべってくれない。

 こうした理由から、単純接触回数を増やす「リアル」なアプローチと並行して、「バーチャル」なアプローチも今の私なら大事にすると思います。例えば
会社名を検索して、個人のブログとか、ツイッターを探す。ポイントは、「匿名」で書いているこうした記事やアカウントを探しあてることです。会社員は雇われている訳ですから、立場上、実名ではなかなか言えないこともある。とはいえ、「電通」という会社名は出せなくても、「大手広告代理店」という名目であれば、こうしたソーシャルメディアツールで好き放題書いている人だってきっと見つかります(笑)。そういう人のブログをどんどん追いかけて、何時に起きて、どんな仕事をやっていて、どんなことにお金を使い、どんな人と飲んで何時に帰宅しているのか、という「生々しい生活情報」を集めていきますね。
 こうして、ネットというツールを使いこなして
今だからできることがいろいろあると思います。

本田 いいアドバイスです。