ジャフコ ビジネスディベロップメント部の坂祐太郎氏は「日本のスタートアップ業界のエコシステムは成熟化してきた。資金供給だけでなく、投資先支援へとVCにも変化が求められる中で、HIRAC FUNDが行おうとしているのは意義のある活動。ジャフコ自身も1000社超の出資先をIPOまで支援した知見がある。そうした知見やノウハウをスタートアップ業界に還元することで、チャレンジする起業家やスタートアップを増やしたい」と述べている。

フィンテック、SaaSに限らずスタートアップを支援

ファンド設立発表と同時に出資先として発表されたのは、WRAY(レイ)、ワークサイド、TENTIAL(テンシャル)の3社だ。出資額はいずれも非公開だが、数千万円規模とのことだ。

WRAYは4月に創業したばかり。女性の体調変化に注目したヘルスケアD2Cブランドだ。第1弾として、PMS(月経前症候群)にアプローチするサプリメントなどを8月中旬から展開予定だ。

 

2018年9月創業のワークサイドは、オンボーディング(入社した人材の受け入れ・定着のための施策)を支援するプラットフォーム「Onn(オン)」を提供する。現在はクローズドベータ版の利用登録を受け付けているところだ。

 

TENTIALは、スポーツメディアを運営しながら、メディアを経由した購買情報などを元に商品開発を行い、D2Cブランドを展開する。第1弾として発売したインソールに加え、今後ラインアップを増やして、スポーツビジネスのブランドとしてグローバル展開を目指している。

 

HIRAC FUNDからの出資額は1社当たり3000万円〜1億円ほどを想定しているという。投資領域は特に絞らず、シード・アーリーステージのスタートアップ全般を対象とする。フィンテックやSaaSだけではなく、それ以外の領域、いわゆるDXが必要とされる伝統的な産業などにも積極的に投資していきたい、と古橋氏。「ヒト・モノ・カネの部分でマネーフォワードグループが培ってきたノウハウと、LPとして参加する投資家の協力も得ながら、起業家のグロースに寄与できれば」と語っている。