今年の2月に麻布十番にオープンした「TAILORED CAFE」

最近では、診断結果をもとに自分専用のコーヒーボックスがポストに届くコーヒーの定期便「PostCoffee(ポストコーヒー)」などのサービスも出てきている。そうした動きも踏まえた上で、松本氏は「カンカクが提供するサービスは店舗で飲んで気に入ったコーヒーが自宅でも楽しめるところにあります」と語る。

Cotteaで提供されているコーヒー豆はもちろんのこと、今後は一緒に商品開発を進めていく。「どのチャネルでも良い商品が提供できるかを軸に、サービスの拡充も進めていく予定です」と松本氏は語り、そのために人材の採用も積極的に進めるという。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い緊急事態宣言が発令されていた4〜5月頃は売り上げが悪化したが、現在、店舗の売り上げはコロナ前を超えるなど、影響はほとんどなくなってきている。「プラットフォームとして店舗やECをやりつつ、いろんなスイーツのブランドを立てていく。そんなイメージで事業を進めていきます」と松本氏は語る。

カンカクの立ち上げと同時に、イタリアンレストラン「ラ ブリアンツァ」をオープンした実績を持つシェフの奥野義幸氏と共同で完全キャッシュレスの低糖質ピザ専⾨店「SONOBON(ソノボン)」を立ち上げた松本氏だが、同店はすでに閉店している。

松本氏は「商品がすごく美味しかったのですが、原価のコントロールが想像以上に難しかった。たくさん商品を売らないといけないモデルだったので、1日2回転させていたのですが、売れないとすべてロスになっていました。であれば、ロスにならないような商品構成や商品を変える議論ができればよかったのですが、現場のチーム組成がうまくできず、奥野さんと自分もお互いに別の事業をやっていたので、店舗を閉じることになりました」と当時を振り返る。

ただ、そのときの経験が今の商品開発に生かされているという。現に、カンカクは季節ごとに新しいドリンクメニューやフードメニューを増やしている。またparfait✕parfaitの立ち上げも、その経験があったから出来たことだろう。

 

初の資金調達に踏み切ったほか、Cotteaを事業買収したことでEC事業を強化に加え、店舗運営との連携および店頭商品の拡充に取り組んでいくカンカク。

「今後は積極的な事業投資と採用活動を行い、店舗運営とサービス開発を通して、これまでにない新たなカフェ体験の提供と飲食業界のDX推進に取り組みます」(松本氏)