「メルカリ代表取締役CEOの山田進太郎は、シリアルアントレプレナー(連続起業家)で、自己資金だけでもある程度の事業ができたはずなのですが、メルカリを創業してすぐに事業の成長スピードを早めるために資金調達していました。その山田さんから『資金調達はできるなら早めにやった方がいい』という話は聞いていたのですが、自分が今の事業に確信を持てるようになった段階で資金調達を実施しようと思い、結果的にこのタイミングで初めて踏み切りました」(松本氏)
松本氏によれば「ブランドの統合に関しては検討している段階」とのことだが、Cotteaはカンカクの組織に加わり、一体となって経営していくという。
今後、カンカクは事業投資、採用、飲食業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に注力。具体的には2021年春頃までを目処に渋谷と六本木で新店舗の出店するほか、サブスクおよびECを拡充。また、エンジニア・デザイナー・PM(プロジェクトマネージャー)などの職種を中心に採用を押し進め、またさまざまな領域の企業との提携を視野に入れながら、飲食業界のDX推進に取り組んでいく。
「どうしたらOMO(オンラインとオフラインの融合)を実現できるかを考えていたとき、自社でつくったコーヒーが店舗で飲めて、同じものがシームレスにECで購入できる。そんな世界観をつくる必要があると思ったんです」(松本氏)
今から約1年前に立ち上がったカンカク。「将来的には自社でコーヒー豆のオンラインショップを立ち上げたい」と考えていたそうだが、事業を運営していく過程で、戦略の方向転換が求められた。コーヒー豆の焙煎は湿度や気温などで毎日変化する。そのため、実際に毎日豆の匂いを嗅ぎ、調整をする職人が必要だ。また、設備投資も相応に必要であるとわかり、「自社での立ち上げに尻込みしてしまった」と松本氏は語る。
そうした中、知人の紹介を通して6月末にCotteaの経営陣と知り合い、一気に買収の話を進める。交渉開始から、およそ2カ月で買収の実現に至った。
「お店のメインメニューが店頭、ECどちらでも購入できる状態をつくれなければ、自分が考えるOMOは実現できません。Cotteaはすでに約16種類のシングルオリジンと約10種類のブレンドのコーヒー豆を提供していて、彼らと一緒になることでカンカクはECのチャネルができますし、一気に十数種類のオリジナルのコーヒー豆を提供できるようになる。それがすべてサブスクで同じ料金で飲めたら、非常に面白いのではないか思いました」(松本氏)