Limeからは今年、アジア太平洋地域の政府戦略および政策責任者のミチェル・プライス氏、そして広報担当者のクランシー・ドビン氏が退任している。昨年まではアジア太平洋地域進出ディレクターだったジョージ・モリソン氏は現在、西ヨーロッパとラテンアメリカも兼任している。
米ニュースメディアAxiosによると、Limeは今年、約14%(約100人)の従業員を解雇し、12の市場から撤退している。だが、同社は日本からの撤退についてはまだ考えていないようだ。
Limeで米国とアジア太平洋地域での政府との折衝を担当しているアダム・コヴァセヴィッチ氏は「日本での電動キックボードの展開に向けて努力を続けます」と説明するも、今後の具体的な計画に関しては言及しなかった。
「我々は今後もパートナーであるデジタルガレージとともに、日本における電動キックボードの規制について観察していきます。電動キックボードが誰にでも簡単に使えるように、今後の実証実験では、免許証や自動車保険の必要性などについては、調整できるようになることを期待しています。2021年には日本での事業運営を開始できるよう、努力します」(コヴァセヴィッチ氏)
BirdもLimeと同様に、2019年8〜9月に福岡県・福岡市で、同社にとって日本初となる実証実験を住友商事と共同で実施した。だが、それ以降は目立った発表をしておらず、日本法人の設立に関しても明らかにしていない。
Bird本社の広報は今後の日本での事業展開について、「我々はより多くの都市でサービス展開するために努力していますが、今のところ(日本での)追加の実証実験は予定していません」と説明する。日本法人の設立についても、「マイクロモビリティがより社会に受け入れられるようになれば、日本で存在感を示していきたい」と述べるにとどまった。
Wind Mobilityはコロナ禍を理由に撤退済み
LimeとBirdは日本での事業展開に及び腰だが撤退までは明言していない。だが、ドイツ・ベルリンに本社を置く電動キックボードスタートアップ・Wind Mobilityの日本法人、Wind Mobility Japanは5月31日、株主総会の決議により解散した。
同社はもともとは電動キックボードの販売を予定していて、4月3日に事前予約の受付を開始したが、「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、車体用意の見通しがつかなかった」ことを理由に販売を中止している。電動キックボードのシェアリングサービスの実証実験についても、2020年4月末にサービスの運用を終了した。